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高知新聞PLUSの活用法

2022.12.13 08:26

時空超える過去記事 UFO・ハルウララ… 復刻開始 全国に届く―デジタルPlus

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 高知新聞のこれまでの記事は本紙データベースに蓄積されていて、およそ31万件に及んでいます。いま世の中で起きている事象と過去はどうつながっているのか。ウェブ担当チームは、膨大な過去記事の中からニュースを復刻する取り組みをウェブサイト「高知新聞Plus」で始めました。

■「高知新聞どうした」
 「オカルト雑誌の『ムー』ってあるでしょ。その関係者に、高知新聞はUFO好きですよねって言われたことがあってさ…」

 意外な情報を同僚が持ち込んできたのは、高知市でUFOの目撃情報が相次いだ10月のある日でした。

 調べてみると、確かに本紙のUFO報道は歴史が古い。「空飛ぶ円盤」の概念が世界に登場したとされるのが1947年6月。早くもその1カ月後、1面のコラム「小社会」で空飛ぶ円盤を取り上げ「世界的にハヤり出した」と記しています。さらに8日後、旧長岡郡介良村で目撃情報があったとして「本県にも現れた!」と写真付きで報じていました。

 目撃談関係は、本紙に著作権がある記事だけで約80本。ただ一般読者には読めない状態でした。サイト上には原則3年分しか記事を登録していないためです。

 「復刻しよう! 今読みたい読者がいるはず」。平成初期より前の本紙記事は画像で保存され、テキストデータになっていません。ウェブ担当チームは過去記事を画像の状態で机に並べ、スマートフォンのOCR(画像データからテキスト化する機能)アプリを起動。デジタル記事としてサイトに登録しました。

■伝説の介良事件から50年 勘違いから本物(?)まで 高知新聞のUFO報道を振り返る

 復刻した記事は15本。第1次オカルトブームを彩った72年の「介良事件」関連。事件を聞き取りに来た作家の故遠藤周作氏。第2次ブームに沸いた90年代、小学校に誕生した「ミステリークラブ」。本紙にUFO情報があまりに多いので「もっと冷静なUFO報道を」とたしなめられた「声ひろば」…。バラエティーに富む内容が並びます。

 復刻記事をツイッターで拡散したところ、「高知新聞どうした」との困惑の声も聞かれたものの、県外のUFO愛好家らまで届き「資料的価値がある」「日本のUFOの歴史に名を残すべき新聞社ですね」とお褒めの言葉を頂きました。

 デジタル記事の特徴は、地方紙の記事が県境を越え、全国の読者に届くこと。ウェブ担当チームは「うまくいった」と喜びました。

■「涙で前が見えない」
 11月は阪神タイガースの安芸キャンプに合わせ、岡田彰布監督で振り返るをテーマに82~2008年の記事8本を復刻。野球ファンに喜ばれ、成功の実感を深めていた時に事件(?)は起こりました。

 朝のテレビ情報番組でハルウララが取り上げられたのです。ウェブ担当チームは「急いで復刻を!」と盛り上がり、記事が読まれやすい正午に間に合わせようと動き始めました。

 「ハルウララ」のワードが含まれる過去記事は389本。選んで復刻するなら、全国メディアとは違う本紙ならではの一本をお届けしたい。「これぞ地元紙」という記事はどれか。

 悩んだウェブ担当メンバーは、ハルウララのブームをつくった石井研記者をつかまえました。

 椅子にもたれ、目を細めた石井記者。「正直あのブームは引いて見とったよ」「負け組の星、負けても走るウララちゃん。そんな書き方は違うんじゃないかと」「最初はとにかく当時つぶれかけていた高知競馬を応援したかった。何かネタがないかと、ある競馬実況アナウンサーと飲み屋で話し込んで…」。当時を思い出し、語りを深めていきます。

 「あの時、負け続けて金にならん馬を、必死に励ます厩務員(きゅうむいん)がおったわけよ。茶髪の兄ちゃん。ウララじゃなくてその子に光を当てたくて、夕刊に書いた。それが始まりやったなあ…」

 かくして、厩務員の頑張りに光を当てた03年6月13日掲載の記事が、「【復刻・ハルウララ報道】あのブームはここから始まった―『1回ぐらい、勝とうな』現在88連敗」のタイトルでよみがえったのです。

 記事へのリンクを貼ったツイッター投稿は競馬ファンを中心に拡散し、「涙で前が見えない」「胸に刺さる」との感想が続々。ページビューは最新ニュースを引き離し、11月で最も読まれた記事に躍り出ました。

 全国の人々が20年前に思いをはせる様子を肌で感じたウェブ担当チーム。「いくら読者が求めても過去の記事が明日の紙面を飾ることはできない」と盛り上がり、「デジタル記事は時空を超える」との名言(?)が飛び出したのでした。

 今後もウェブ担当チームは輝く過去記事を復刻していきます。スマホで読める「高知新聞Plus」で、皆さんも時空を超えましょう。(竹内悠理菜)

 高知新聞Plusでは、過去の連載アーカイブを読むことができます。

【500人の村がゆく】

 連載当時に人口が全国最少だった大川村に記者が住み込み、実像を報じた。村人の生きざまに目を凝らしつつ、山を歩いたりマムシを食べたり。人間くささにあふれたルポルタージュ。

【カツオと生きていく】

 高知県を象徴する魚、カツオ。近年は海外での乱獲や漁獲高減、売値の下落など漁関係者には厳しい状況が続く。古くから県民の生活に結び付いたカツオに関する記事を集める。

【ほっこり味めぐり】

 カレー、ラーメン、定食、丼、オムライス…。県内各地で人々の胃袋と心を満たす多彩な味。地元に密着する高知新聞社の記者が、身近な名店・名物料理を紹介する。

【わたくし、東京から来た浜ちゃんです。】

 「釣りバカ日誌」の主人公のモデルとなった、元小学館編集者の黒笹慈幾さんのエッセー。定年後に「釣りがしたい」と高知へ移住。日々の暮らしを柔らかい言葉でつづった。

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