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2022.08.03 08:40

高知県民は誤解している…ソーラン関係者の高知リスペクトがすごい ヨサコイ不思議発見!①

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 第31回YOSAKOIソーラン祭り(6月8~12日・札幌市)を高知新聞のよさこい担当記者2人が取材し、関係者の思いを聞いてきました! 全7回の連載でお届けします。を読む)
  
札幌市の西8丁目ステージで披露された「バンザイ!!NARUKO CARNIVAL」

札幌市の西8丁目ステージで披露された「バンザイ!!NARUKO CARNIVAL」

 
 高知発祥のよさこいは、札幌で「YOSAKOIソーラン祭り」としてすっかり定着。規模では“本家”が追い越され、この事実に複雑な思いを抱く高知県民は少なくありません。「札幌のYOSAKOI関係者は、もう高知のことなんか歯牙にも掛けてないのでは?」。正直に言えば、取材班にもそんな先入観がありました…。

第2回YOSAKOIソーラン祭りで踊るセントラルグループ(1993年撮影)

第2回YOSAKOIソーラン祭りで踊るセントラルグループ(1993年撮影)

 ですが実態は、違ーう! 札幌で出会った皆さんからは、こちらが恐縮してしまうほどの高知リスペクトを感じました。

 そう感じた理由の一つが、昨年の第30回(新型コロナで中止)を記念して作られた総踊り用の楽曲「バンザイ!!NARUKO CARNIVAL」(鳴子カーニバル)です詳しくご紹介します。

よさこい祭り…1954年に高知市で始まった祭り。商店街を会場に、踊り子が「鳴子」を打ち鳴らしながら踊り進む。高知県内で最も経済波及効果がある催し。

YOSAKOIソーラン祭り
…よさこい祭りを1991年に見た北海道大学の学生が感動。札幌でも、と動き翌年に始まった。参加者の規模は高知の2倍以上。全国各地によさこい系イベントが広がるきっかけとなった。


■ミスターソーラン「高知への感謝が足りなかった」

 
YOSAKOIソーラン祭りに第1回から関わる宮本毅さん

YOSAKOIソーラン祭りに第1回から関わる宮本毅さん

YOSAKOIソーラン祭りは、昨年が30回の節目でした。その記念に作られたのが総踊り曲「バンザイ‼ NARUKO CARNIVAL」です。企画したのは、作曲者や歌手などとして、第1回から携わる宮本毅さん(54)=札幌市。大通公園の会場近くで、インタビューに答えていただきました。

宮本毅さん…皆勤参加チーム「さぁさみんなでどっこいしょ」代表。祭りを代表する楽曲「よっちょれ」「POWER!」などを多数手掛けた、通称「ミスターYOSAKOIソーラン」。

――YOSAKOIソーラン祭り31年、おめでとうございます!

宮本「高知からようこそ!実は僕、反省があるんです

――えっ、反省?

宮本「そうです。これまで長い間、高知と北海道はそれぞれに盛り上がって連携してこなかった。高知のよさこいがあったから北海道にYOSAKOIができたのに、何の恩返しもせずにきてしまった。感謝が足りなかったなと。何で30年、勝手にやってきちゃったんだろ…と思って

――えええっ。そんなこと、思います?

宮本「思います。で、30回の節目に、第1回から祭りに関わり続けている人を探してみたら、10人くらいしか見つからなかった。これは今コラボするしかないと。当時を知る人たちに協力してもらうことで原点に立ち返ってルーツを見直そうと。こうして誕生したのが『鳴子カーニバル』です

■「どっこいしょ」「よいやっさ」 曲中には北と南の掛け声

第1回YOSAKOIソーラン祭りでのセントラル演舞を伝える本紙記事。参加は10チームだった

第1回YOSAKOIソーラン祭りでのセントラル演舞を伝える本紙記事。参加は10チームだった

――どんな人が関わったんですか?

宮本「第1回は高知から『セントラルグループ』や故・国友須賀先生が札幌まで来てくださった。須賀先生は天国にいらっしゃるので、ご長男の国友裕一郎さんと、セントラルのセンターで踊っていた田村千賀さんに依頼して。さらに北海道から名だたる振付師やミュージシャンが参加しました※どんな人が関わったか、詳細はこちらをご覧ください

――宮本さんは、作詞・作曲のご担当です。歌詞を中盤から引用させていただきます。

土佐と蝦夷が翔ぶ祭りだ
よさこい YOSAKOI NARUKO CARNIVAL 
ヨッチョレヤ! ヨッチョレヤ! ヨッチョレソーランサー!
(中略)
土佐だ蝦夷だ最高の祭りだ(祭りだ!) 
よさこい YOSAKOI NARUKO CARNIVAL
ヨイヤッサー!(ドッコイショー!)×2
バンザイ!! NARUKO CARNIVAL

宮本「曲中に高知の『よっちょれ』『よいやっさ』と、北海道の『どっこいしょ』がどっちも入ってるでしょ。踊り子さんはどちらでも好きな方を選んでいいんです。交互に声を掛け合ってもらおうと思って

――なるほど。「土佐と蝦夷が」も繰り返し出てきて、印象的ですね。

宮本世界へ一緒に翔ぼうという思いを込めたんです。いろんな方のおかげで迎えられた30年。お祝いを北海道だけの物にしてしまうのはもったいないので

■互いの祭りが永遠に続いてほしい

高知からは振り付け師の田村千賀さん(左)と国友裕一郎さん(右)が協力した

高知からは振り付け師の田村千賀さん(左)と国友裕一郎さん(右)が協力した

宮本「高知と北海道は総踊り曲も別々だったでしょう。『鳴子カーニバル』は一緒に踊りたくて作ったんです

――確かに。高知と北海道のよさこいチームは参加する祭り自体が分かれていて、一緒に踊る機会はなかったイメージです。

宮本「そうなんです。正直、高知の方にはYOSAKOIが良く思われていないと感じる瞬間もありました

――うっ、痛いところを。高知県民としては正直、複雑な気持ちがあります。札幌の祭りの方が大きくて有名になってますので…。

宮本「確かに、北海道のYOSAKOIの規模は数字的には高知を超えました。それは、挑戦好きな道民性が関係してるし、札幌の地理的条件が良くて勝手に大きくなった側面もあります。でも逆に言うと、北海道の人は飽きっぽい。深く浸透させることは難しいんです。この30年、YOSAKOIにもいろんなことがありました」

総踊りのフィナーレで「バンザーイ!」と天を仰ぐ踊り子たち

総踊りのフィナーレで「バンザーイ!」と天を仰ぐ踊り子たち

――確かに、高知にはよさこい祭りと並ぶ規模のイベントがないけれど、北海道にはいくらでもあります。事情が違うわけですね。

宮本今や全国にはソーラン系、高知系などいろんな派閥ができてしまった。歩んできた道が違うから、一緒にやろうって言ったってけんかになる。だから曲を作ったんです。音楽や踊りだったら誰もけんかしない。高知の人と一緒に作ったものなら、なおさらです」

スタンスとしては、この曲は完全にはYOSAKOIでも、よさこいでもない。鳴子カーニバルというお祭りなんです

――壮大な発想です。
 
宮本お互いの祭りが永遠に続いてほしいと願っています。僕らは鳴子で一つになれる。簡単なことです。それぞれのプライドやポリシーは大事にしつつ、これからはみんなで踊って、楽しかったねって。お互いに行ったり来たりできたらなと思っています」

   ◇

 宮本さんの高知とよさこいへの深い愛には驚かされるばかり。取材班は「誤解していてすみませんでした!!」 思いっきり頭を下げて、インタビューを終えました。総踊りの公式動画はこちら「土佐と蝦夷が舞う祭りだ~♪」で始まるサビはポップでどこかノスタルジック。31年前に思いをはせたくなるメロディーです。
(企画・構成=竹内悠理菜)

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