公の群像 052 公務員になりたい(12=終) らしくない職員に

さて、どう育てるか　「あのころは『おまえ、バカか』とまで言われましたよ」　この国がバブル経済に沸き返っていた平成の初め、高知県内の某町役場に就職した職員が振り返って苦笑する。　給料は手取りで１５万円あ...

公の群像 053 ゼイムの人々(1) チョーゼーリイン？

彼らの権限を保障する身分証　吏員。りいん。古くさい言葉だ。地方公務員を指す法令用語（国家公務員は官吏）だが、これが数年前まで地方自治法の中に生きていたとは。国が法改正で「職員」に置き換えたのは２００６...

公の群像 054 ゼイムの人々(2) 自力執行権という刀

紙一枚提示して差し押さえる　「卒業したら高知に戻る」　親とそう約束して県外の大学に出してもらった松原勝利は、その言葉通りに高知県警の採用試験を受けた。が、失敗。「バイト暮らしかぁ」とうなだれたところに...

公の群像 055 ゼイムの人々(3) ｢精力善用｣を胸に

「滞納整理」とは何か　昨年の夏。高知県高岡郡佐川町滞納整理課の松原勝利は、休みを取ってウクライナの首都キエフにいた。当地で開催されていた柔道の世界カデ選手権（１５～１６歳対象）に出場して見事優勝した池...

公の群像 056 ゼイムの人々(4) 数字が語るものは…

ザ・徴収率ランキング　民間企業と違い、役所の世界で数字に追われる部署というのはそれほど多くない。その点、徴税吏員たちの働きぶりはいやでも数字に表れてくる。徴収率やそれと裏表の滞納率、差し押さえ件数など...

公の群像 057 ゼイムの人々(5) でも、背任でしょう

どこまで徹底できるか　ある日の夕刻。高知県西部の市町村職員たちを誘って居酒屋に陣取った。そこで聞きだした彼らの“本音”を採録してみる。　Ａ「納税者からしたら、市町村の税務は怖ないけど、税務署は怖いがね...

公の群像 058 ゼイムの人々(6) 機構という養成所

鍛える人と鍛えられる人と　「キコウ」という“滞納つぶし”専門の広域行政組織が、全国各地に存在する。県名を冠して「○○租税債権管理機構」と名乗る先が多い。　高知県内には三つある。初発は２００４（平成１６...

公の群像 059 ゼイムの人々(7) ｢うちは自前でやる｣

トップが腹を据えないと…　「あれはやねぇ…」　今は民間病院の事務長に収まっている黒田康昭（６３）が、安芸県税事務所長だった２００１（平成１３）年ごろの記憶をたぐる。黒田は、当時「違法」と見なされていた...

公の群像 062 ゼイムの人々(10) 努力しないと潰れる

個人住民税は県市で“分け合う”　２００６（平成１８）年１１月、当時の高知県知事、橋本大二郎から安芸市と吾川郡いの町に“訳あり”の感謝状が贈られた。ともに積極的な滞納整理が評価されてのことだが、安芸市の...

公の群像 064 ゼイムの人々(12) 一歩先は生保の領域

東洋町の浮かぶ瀬は…　滞納にも時効がある。　納期限の翌日から５年で、地方税の徴収権は消滅する。消えた分は「不納欠損」として計上することになるが、督促状を送り、差し押さえなどの措置を講じておけば時効は中...