公の群像 012 メンタルダウン(11) 貢献できない自分

“電気”がつかなかった彼女　人にはまれに、天から“滋養”が降り注ぐことがある。彼女の場合、そう表現していいような体験をしている。　４０代の彼女はうつ病で勤め先の自治体を休職していたが、買い物に出掛けた...

公の群像 013 メンタルダウン(12=終) 人たるに値するよう

ブータン国王夫妻の笑顔　「退職したＯＢたちへの抵抗感というのかな、今はそれが薄らいだみたい」。メンタルダウンから脱して復職した自治体職員の「彼女」が言う。どういう意味か測りかねたが、続く言葉は「顔つき...

公の群像 014 生保という仕事(1) 異様なマンモス所帯

騒々しい高知市福祉課　この職場は異様だ。いつ来ても、職員の半数は受話器を手にしている。コールセンターさながらに。始業時と同時に電話が鳴りだすことも珍しくない。ことに月曜の午前は鳴りっ放しになる。　電話...

公の群像 015 生保という仕事(2) 人格高潔、思慮円熟…

世帯訪問はＣＷの基本作業　新築マンションや戸建て住宅が立ち並ぶエリアであっても、その一角に築何十年かというすすけたアパートがたたずんでいたりする。立冬間近の、ひんやりとした風の吹く午後。そんなアパート...

公の群像 016 生保という仕事(3) 一、二争う不人気職場

きょうも新規の申請が…　生活保護のケースワーカー（ＣＷ）には「社会福祉主事」の資格が必要だが、社会福祉現論や法律学、経済学、心理学など３２ある国の指定科目のうち、３科目だけを履修すればそれでＯＫ。だか...

公の群像 017 生保という仕事(4) 止まったら終わり

きょうも呼び出しが…　「この仕事、ホント、きりがないがです」　高知市福祉事務所のケースワーカー（ＣＷ）、早馬恵美子が言う。「けど、止まったら終わり。後回しにしよったら遅れをよう取り戻しませんも」　保護...

公の群像 018 生保という仕事(5) 病院で迎える｢廃止｣

バイクの行き先は病院　「きょう伺うのは３人。同じ○○病院に入っている受給者の方々です」。そう言って原付バイクにまたがった高知市福祉事務所のケースワーカー、藤田和士（４１）についていく。　１３ある保護係...

公の群像 019 生保という仕事(6) リアル、ですよね

受給者のプライバシーは…　「死亡廃止」による生活保護打ち切りには、いくつかパターンがある。身寄りがない場合。あって引き取る場合と、そうでない場合―。　身寄りがないケースは、警察の検視を経て遺留品を処分...

公の群像 020 生保という仕事(7) “演じる”気になって

ケースファイルは個人史　ケースファイルは生活保護ケースワーカー（ＣＷ）から見た受給者の“個人史”になる。　世帯を訪問してあれこれ聞き、記録しておく。手書きの時代は２～３行というのもざらだったらしいが、...

公の群像 021 生保という仕事(8) 金額、書くんですか？

相談は増え続ける　「書くつもりですけど」　「え、書くんですか？　となると、そりゃ増えますよねぇ」　生活保護費というのは、一体どれくらいもらえるものか。その額を記事にすれば、保護申請はやっぱり増えるだろ...