探求人の特別授業「フルーツ農園のおいしい探求」先生は岡宗農園の岡宗俊介さんです！

2023.07.21 14:18

探求人の特別授業「フルーツ農園のおいしい探求」先生は岡宗農園の岡宗俊介さんです！

高知新聞社

　高知(こうち)県(けん)佐川(さかわ)町(ちょう)出身(しゅっしん)の植物(しょくぶつ)学者(がくしゃ)、牧野(まきの)富太郎(とみたろう)博士(はかせ)（１８６２～１９５７年(ねん)）。草木(くさき)の研究(けんきゅう)に一生(いっしょう)をささげた牧野()博士(はかせ)は１５００種(しゅ)以上(いじょう)の植物(しょくぶつ)を命名(めいめい)しました。高知(こうち)新聞社(しんぶんしゃ)では、一(ひと)つの道(みち)を究(きわ)めた牧野()博士(はかせ)のスピリットを受(う)け継(つ)ぐ人(ひと)、現代(げんだい)の「探求(たんきゅう)人(じん)」が、高知(こうち)の子(こ)どもたちに、発見(はっけん)やおどろきからくる学(まな)びの楽(たの)しさを伝(つた)える「BOTA!探求(たんきゅう)人(じん)応援(おうえん)プロジェクト」を実施(じっし)しています。

　高知(こうち)で活躍(かつやく)する「探求(たんきゅう)人(じん)」から何(なに)かに夢中(むちゅう)になることの素晴(すば)らしさを教(おそ)わる「特別(とくべつ)授業(じゅぎょう)」をリポートします。

□「BOTA!探求(たんきゅう)人(じん)応援(おうえん)プロジェクト」の詳細(しょうさい)はこちら

　第(だい)２回(かい)の先生(せんせい)は、岡(おか)宗(むね)農園(のうえん)（メリーガーデン）＝安芸(あき)市(し)川北(かわきた)甲(こう)＝の岡(おか)宗(むね)俊介(しゅんすけ)さん。「フルーツ農園(のうえん)のおいしい探求(たんきゅう)」と題(だい)した授業(じゅぎょう)に、小学(しょうがく)１～５年生(ねんせい)の親子(おやこ)１６人(にん)が参加(さんか)しました。いつもは見(み)られない生産(せいさん)現場(げんば)を特別(とくべつ)に見学(けんがく)させてもらい、ライチがりも楽(たの)しみました。

◆なえ木(ぎ)から始(はじ)まった農園(のうえん)
　「30年(ねん)ちょっと前(まえ)に、親父(おやじ)がなえ木(ぎ)の生産業(せいさんぎょう)を始(はじ)めました」。岡()宗()さんはまず、農園(のうえん)の成(な)り立(た)ちについて教(おし)えてくれました。「簡単(かんたん)に言(い)うと、植物(しょくぶつ)を育(そだ)てて全国(ぜんこく)の業者(ぎょうしゃ)さんに大量(たいりょう)に売(う)る仕事(しごと)です」。

　そして、通(とお)りがかった人(ひと)に「売(う)ってほしい」と言(い)われたことがきっかけで、直売(ちょくばい)所(じょ)の「メリーガーデン」を20年(ねん)ほど前(まえ)に開(ひら)きました。さらに、ブルーベリーの木(き)を見(み)たお客(きゃく)さんに「実(み)はないんかえ？」と聞(き)かれ、果物(くだもの)を育(そだ)てるようになりました。今(いま)は小夏(こなつ)やマンゴー、ライチなども育(そだ)てています。

◆仕事しごとは草くさとのたたかい

　最初(さいしょ)に見学(けんがく)したのは、ポットに入(はい)ったなえがずらっと並(なら)ぶ場所(ばしょ)。「これがなえ木(ぎ)です。いろいろな種類(しゅるい)を育(そだ)てていて、それぞれ1000～1500本(ほん)はありますね」。スギのなえ木(ぎ)を育(そだ)てる場所(ばしょ)では、「面積(めんせき)が広(ひろ)いので、時間(じかん)によって自動(じどう)で切(き)りかわるスプリンクラーを使(つか)って水(みず)をやっています」という説明(せつめい)の直後(ちょくご)、参加者(さんかしゃ)の近(ちか)くのスプリンクラーが作動(さどう)。参加者(さんかしゃ)はびっくりしていました。

　「仕事(しごと)は草(くさ)とのたたかい」という岡()宗()さん。「育(そだ)てたい木(き)の周(まわ)りに草(くさ)があると、栄養(えいよう)を取(と)られてしまう」ため、全部(ぜんぶ)きれいに取(と)るそうです。木(き)を育(そだ)てるビニールハウスでは「温度(おんど)を上(あ)げて早(はや)く育(そだ)てて、早(はや)く売(う)れるようにしています。反対(はんたい)に、大(おお)きくなりすぎると売(う)れなくなる木(き)は外(そと)に出(だ)します。木(き)の移動(いどう)が大変(たいへん)です」と話(はな)していました。

◆ハウスに秘密(ひみつ)いっぱい
　「ビニールハウスの温度(おんど)管理(かんり)と水(みず)やりの作業(さぎょう)はできるだけ自動(じどう)化(か)するようにしています」と岡()宗()さん。小(こ)夏(なつ)のハウスで秘密(ひみつ)を教(おし)えてくれました。ハウスの中(なか)には温度(おんど)センサーがあり、温度(おんど)を読(よ)み取(と)ってモーターが動(うご)き、自動(じどう)的(てき)にハウスを開(あ)け閉(し)めします。外(そと)には雨(あめ)のセンサーがあり、雨(あめ)を感(かん)じるとハウスが閉(し)まるようになっています。スイッチをおすと木(き)の根元(ねもと)にある灰色(はいいろ)のパイプから水(みず)やりもできます。さらに、設定(せってい)した温度(おんど)よりハウスの中(なか)が寒(さむ)くなると、大(おお)きなストーブのような重油(じゅうゆ)ボイラーが自動(じどう)でつきます。小(こ)夏(なつ)なら０度(ど)以下(いか)、マンゴーやライチなら20度(ど)より低(ひく)くなったら、ボイラーをたきます。

　「寒(さむ)い日(ひ)があると、小(こ)夏(なつ)の木(き)がかれたり、実(み)がスカスカになったりしてしまうので、ハウスに入(い)れて温度(おんど)を保(たも)つと毎年(まいとし)おいしい実(み)がとれます」

◆大(おお)きなマンゴーを育(そだ)てるには
　「ちっちゃい花(はな)がいっぱいさいていますよね。これがマンゴーの花(はな)です」と岡()宗()さんが写真(しゃしん)を見(み)せてくれました。緑色(みどりいろ)の小(ちい)さい実(み)がたくさん枝(えだ)につきますが、大(おお)きくする実(み)だけを残(のこ)します。「おいしく食(た)べられる大(おお)きなマンゴーにするために、形(かたち)の悪(わる)い実(み)をちょっとずつ取(と)ります」「毎日(まいにち)一生(いっしょう)けんめいやりゆうがですけど、この作業(さぎょう)がすごく大変(たいへん)」だそうです。

　マンゴーのハウスに入(はい)ってみました。根元(ねもと)には水(みず)やりの黒(くろ)いチューブがあり、上(うえ)にはネットをつけて実(み)が下(した)に落(お)ちないようにするワイヤーがはられています。「おうちで育(そだ)てるのは難(むずか)しくて、体感(たいかん)温度(おんど)が４～６度(ど)くらいになるとかれてしまうこともあります。高知(こうち)でも寒(さむ)い日(ひ)はマイナスになるので、ハウスで育(そだ)てないとだめですね」。

◆真(　ま)っ赤(か)な実(み)を探(さが)せ
　お待(ま)ちかねのライチがりの前(まえ)に、勉強(べんきょう)です。２月(がつ)にさいた花(はな)から、だいたい実(み)が２個(こ)できること。片方(かたほう)だけ大(おお)きくなること。実(み)の色(いろ)は緑(みどり)から赤(あか)に変(か)わることを学(まな)びました。ハウスの戸(と)が開(ひら)くと「わー、すごい。大(おお)きい」と声(こえ)が上(あ)がりました。「全体(ぜんたい)が真(ま)っ赤(か)になっている実(み)を採(と)って食(た)べてみて」と岡()宗()さんが言(い)うと、一転(いってん)静(しず)かに。しんけんな顔(かお)で少(すこ)しでも大(おお)きな実(み)を探(さが)します。とうめいの実(み)を口(くち)に入(い)れて「冷(れい)とうのとは比(くら)べものにならん」「あまい！ジューシー！」とにっこり。

　へたの部分(ぶぶん)を指(ゆび)ではずすと、リンゴをむくように皮(かわ)がくるくると指(ゆび)でむけます。包丁(ほうちょう)を使(つか)うなら、皮(かわ)に入(はい)っている線(せん)に切(き)れ目(め)を入(い)れると、きれいにむけるそうです。

　参加者(さんかしゃ)は「ライチをとったのが面白(おもしろ)かった。おばあちゃんにあげる」「スプリンクラーやボイラーを使(つか)ったりして工夫(くふう)して、育(そだ)てゆうことが分(わ)かった」と話(はな)していました。

◇岡宗先生から

　農園(のうえん)の秘密(ひみつ)にせま()った特別授業(とくべつじゅぎょう)。最後(さいご)に岡宗先生からのメッセージです。

　最先端(さいせんたん)からはおくれちゅうと思(おも)うけど、それでも工夫(くふう)しながら省力(しょうりょく)化(か)しています。ぼくらみたいな農家(のうか)がどういう仕事(しごと)をしているのか実際(じっさい)の現場(げんば)を見(み)て、今(いま)の農業(のうぎょう)を知(し)ってもらえたらうれしいなと思(おも)います。高知(こうち)県(けん)は身近(みぢか)に農業(のうぎょう)があるので、大人(おとな)になった時(とき)に思(おも)い出(だ)して、働(はたら)いてみたいなって思(おも)ってもらえるとすごくありがたいです。

□岡宗先生のインタビュー記事はこちら
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