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2024.04.19 08:52

洗濯粉末洗剤が消えゆく? 老舗メーカーが製造終了【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

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 「無添加にこだわった『ミヨシ石鹸(せっけん)』の洗濯用粉せっけんが販売中止になります。なぜ?」。東京新聞「ニュースあなた発」に、そんな質問が寄せられた。理由を調べてみると、洗剤市場の変化が見えた。

 ミヨシ石鹸は、東京都墨田区にあるせっけんメーカー。1921年創業で「自然由来の天然油脂にこだわり、化学物質は一切使用しない」がモットーだ。

 同社のウェブサイトを見ると、3月末の販売終了予定商品一覧に「そよ風粉せっけん」があった。容量2・16キログラムで税込み924円。代替商品として同じシリーズの液体せっけん(1・1リットル、税込み880円)などが紹介されていた。

 担当者によると「事業としての採算確保が難しくなった」。粉せっけんは60年に製造販売が始まったロングセラー商品で、洗浄力が高い。かき回す力が強い2槽式洗濯機と相性が良かったが、最近は粉末に対応していない洗濯機も増えた。2000年代に入るまでは主力だったが、液体せっけんに取って代わられた。昨年12月1日に製造中止を発表すると、愛用者から惜しむ電話が同社に殺到。販売継続を社内で検討したものの、製造設備の老朽化もあり、「やむなく終了を決めた」という。

 ◇ 

 墨田区のドラッグストア「くすりの福太郎東向島店」を訪ねた。さまざまな洗濯用洗剤が並ぶ棚の一番下の片隅に「ミヨシの粉せっけん」がひっそりと置かれていた=写真。店長によると週に3、4個売れるという。

 隣にある大手メーカーの粉末洗剤は週に20~30個売れるが、液体洗剤はその倍の週50~60個売れるという。経済産業省の統計でも、11年に通年で販売量・金額ともに液体洗剤が粉末を上回り、洗濯洗剤の主役が代わった。

 大手メーカーは粉末洗剤から撤退しないのか。最大手の花王(中央区)は「粉末ならではの洗浄力もあり、製造過程で溶け残りしない工夫もしている」。23年にはスティック状の粉末洗剤を新たに発売し、大ヒット商品となった。

 粉末洗剤の逆襲が始まるのかもしれない。(東京新聞)



 県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。

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