2024.04.19 08:52
就活の「服装はカジュアルで」 悩む学生「正解分からない」 企業側はハードル下げる狙いも【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】
就職情報会社マイナビ主催の合同企業説明会に設けられたカジュアル服の紹介パネル(広島市南区)
福山平成大の男子学生(21)は「説明会の案内が『カジュアルで』だとめっちゃ困ります。普段の服も無頓着なので…」と話す。
比治山短大の1年女性(19)は「親に相談して白のセーターとグレーのパンツに決めた」という。
苦い経験を告白する学生も。岡山大の女子学生(22)は「呼びかけ通りカジュアルで行ったら、周囲はほぼリクスー(リクルートスーツ)とパンプスで焦った」と振り返り、「カジュアルを推すなら、もっと強調してほしい」。
企業側の狙いはどこにあるのだろう。「リクスー禁止」という精米機製造のサタケ(東広島市)は、毎年服装のお題を出しているという。昨年のお題は「あなたにとって最も〇〇な服」。人事担当者は「リラックスして臨んでもらいたい。個性を見たいという側面もある」とする。
選考の手前の企業説明会などを私服OKにする企業は少なくない。競技用ボールなど製造のミカサ(安佐北区)は「スーツを着る手間を省き、講義やアルバイトの合間に一人でも多くオンライン参加してもらえたら」とする。部活着を認めることもあるという。
リクルートワークス研究所(東京)によると、2024年3月卒業予定の大卒求人倍率は1・71倍と2年連続で上昇。「カジュアルで」は、売り手市場の中で服装のハードルを下げてより多くの学生にアクセスするための企業の戦略でもあるようだ。
小井手ファッションビューティ専門学校(南区)の講師でスタイリストの難波典子さんは「リクルートスーツ姿は個性が隠れ、堅苦しくなりがち。私服で企業の人と会えるのは、自分らしい表情を見せるチャンスだと捉えて」と助言する。
だらしなく見えぬようジャストサイズを選ぶことと清潔感を前提に「オフホワイトやベージュ系のニットやブラウスは明るく見えるのでお薦め。愛用のアクセサリーを身に着けると自信にもつながる」と後押しする。
就活生の皆さん、こういった視点でぜひ前向きに「カジュアルで」に対応してみては。(中国新聞)
県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。
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