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2023.08.27 00:01

広告特集【BOTA! 探求人応援プロジェクト】<探求人紹介③> 高知大学 総合研究センター 海洋生物研究教育施設 教授 斉藤 知己さん

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【探求人紹介③】
高知大学 総合研究センター
海洋生物研究教育施設 教授
斉藤 知己さん
高知でウミガメ愛がさらに深化
知りたいことが次から次へ!
魚を追い求め、海・山・川へ!
学びたくて選んだ京都大学
 高知大学でウミガメの研究を行っている斉藤知己さんは、自然豊かな静岡県東部の三島市で生まれ育ちました。魚などの生き物が好きで、深く学びたいと京都大学農学部水産学科に進学。卒業後は、生き物の取り扱いや勉強に深く携わりたいとの願望から名古屋港水族館に就職しました。
 最初に担当したのはマグロとカツオ。当時、難航していた水槽飼育を手がけ、初めて出張したのは中土佐町だったそうです。それと並行して、深海生物の生態・分類を研究し、論文を発表して博士号を取得しました。
 ウミガメとの出合いはその頃で、名古屋港水族館は1995年に世界で初めて人工環境下でのアカウミガメの繁殖に成功し、水族館が一丸となって人工繁殖と野外での保護活動に取り組んでいました。ある時、大学時代の友人のウミガメ調査を手伝ったことを機に、ウミガメ担当を命じられました。

高知海岸で採取したアカウミガメの卵からふ化して1週間の子ガメ

知れば知るほど魅力的
ウミガメをもっと知りたい!
 ウミガメは、陸や沼地にすんでいたカメが海に生息場所を変え、速く泳げるように形や甲羅が進化した爬虫(はちゅう)類です。世界には8種類のウミガメがいますが、人間の経済活動の影響を受けて絶滅危惧種となりました。乱獲や海洋汚染、産卵場所となる砂浜の環境悪化などがその要因です。
 名古屋港水族館で20年間ウミガメの研究と保護活動を続けていたことから、知れば知るほどウミガメへの愛が深まり、ウミガメを守るためにもっと何かできることがあるのではないかと考えるようになりました。ある時、高知大学で研究職の募集があることを知り、新たな道を進むことを決断したのです。
 ウミガメは世界の海のあちこちに分布していますが、北太平洋に生息するアカウミガメたちは、すべて日本で産卵をすることが分かっています。中でも重要な産卵地の一つである高知県での研究。「それはワクワクしますよね!」と笑みがこぼれます。
水族館では分からない自然の姿
過酷な自然環境に適応する力
 アカウミガメが産卵にやって来る仁淀川河口をフィールドに調査・研究を行っています。自然下では、メスのウミガメが産卵するのは2~3年のうちの1シーズン、その1シーズンに3~4回産卵しますが、水族館では8年連続産卵した事例もあるのだそう。水族館は繁殖・研究に欠かせない施設ですが、「自然下の生態は分からないことだらけ」なのだそうです。
 驚くことに自身が放流したウミガメが13年後に捕獲され、再会した経験があります。そのきょうだいに当たるウミガメを水族館で飼育していましたが、海で育ったカメは一回り小さくて体重は約半分、体質や習性もまったく異なっていました。水族館のウミガメが人の姿を見て餌をねだりにくるのに対し、野生のウミガメは水槽の深い所に潜り、人の気配がある間はほとんど水面に上がってきませんでした。「自然界で生きる厳しさを目の当たりにしました」と話します。

調査のため人工ふ卵器に保管されている卵たち。温度は30度に設定されている

命をつなぐために高知に上陸
安心して産卵できる海岸を!
 アカウミガメの産卵時期は、5月下旬~8月中旬。斉藤さんたちの調査隊は、仁淀川河口の砂浜に足しげく通って産み落とされた卵の一部を、許可を得て実験用サンプルとして採取し、温度を変えてふ化させ、子ガメの大きさや運動能力がどう変化するかを研究しています。「今後、温暖化によって海岸の状況が変わってくると、子ガメの性質も変化することが考えられます。母親ガメが産卵時期を早めたり、産卵地を変えることがあるかもしれません」と、未知の解明に挑んでいます。
 高知で自然界のウミガメと相対するようになって10年。「いろいろ分かってきましたが、もっともっと知りたいです」と探求心は尽きません。
 高知の海岸は、今後のアカウミガメ個体群の増減に大きな責任を負っています。守り、増やすために、今私たちにできることは何か、一緒に考えてみませんか?
Q.1どんな子どもでしたか?
釣りや素潜りが大好きで、魚にとても興味がありました。当時はやっていた釣り漫画がバイブルで、磯場で遊んだり、川でアユやアメゴを釣ったり、自転車で2時間かけて芦ノ湖へバス釣りに行ったりしました。漫画の影響は大きく、大人になってからは、北海道にイトウを、オーストラリアにアカメを釣りに行きました。
Q.2ウミガメの魅力は?
一生を海で過ごし、陸にやって来るのは産卵の時だけ。夏の夜、自然が豊かな暗い砂浜を選んでひっそりとやって来て、卵を産んで、またひっそりと海へ帰っていきます。子ガメが海へ旅立って以降、その姿を見ることはほとんどなくて、とても神秘的な存在です。
Q.3研究室について教えてください
ウミガメをはじめ、深海生物のエビ・カニの研究をしたい学生たちが集まってきます。素潜りや釣りが好きな人、海の生物に魅力を感じる人、水族館で働きたいという人もいて、これまでに何人もの卒業生が水族館に就職しています。野山を駆け巡り、バケツに生き物を入れて帰ったという経験がある人、歓迎です!
Q.4これからやりたいことは?
グローバルな気候変動がウミガメの生態にどう関わっていくかを調べる国際的なビッグプロジェクトに参加しています。北太平洋に、高知の海岸で生まれた子ガメたちに発信機を付けて放ち、どこに向かうか行動を調査しています。ウミガメたちの将来に役立つよう成果を出していきたいです。
高知大学 斉藤 知己教授による
「海をめぐるウミガメ探求」参加者募集中
BOTA! 探求人応援プロジェクトについて
高知の子どもたちに、現代の「探求人」が発見や驚きからくる学びの楽しさを伝えます
植物探求に生涯を捧げた牧野富太郎博士。そのスピリットを現代に受け継ぐ 「探求人」を紹介するとともに、その探求人による小学生向けの特別授業を実施します。学びの本質でもある発見や驚きの楽しさを、高知の未来を担う子どもたちに伝え、何かに夢中になることの素晴らしさを感じる機会をつくります。

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