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2023.07.28 13:10

田邊教授の「出禁」は史実!「ムジナモ」引き金に 「らんまん」万太郎……呆然

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©NHK

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 朝ドラ「らんまん」の万太郎(神木隆之介)は、ついに東京大学植物学教室の田邊教授(要潤)から出入り禁止を命じられてしまいました。ドラマでは食虫植物「ムジナモ」発見の論文発表が引き金となっていますが、史実ではどうだったのでしょうか?

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 牧野富太郎博士の晩年の著書である「牧野富太郎自叙伝」(講談社学術文庫)をひもといてみましょう。それは「明治23年頃」のことだと書いてあります。これはムジナモを発見した年です。博士は大学の矢田部良吉教授から思いもよらぬことを言われたとつづります。引用します。

〈「自分もお前とは別に、日本植物志を出版しようと思うから、今後お前には教室の書物も標本も見せる事は断る」というのである。私は甚だ困惑して、呆然としてしまった〉

 そう言われても博士はあきらめませんでした。以前にも行ったことのある矢田部教授の自宅を訪ねて、こんなふうに懇願します。「今日本には植物を研究する人は極めて少数である。その中での一人でも圧迫して、研究を封ずるような事をしては、日本の植物学にとって損失であるから、私に教室の本や標品を見せんという事は撤回してくれ。また先輩は後輩を引立てるのが義務ではないか」と。

 しかし矢田部教授は、結局その言い分を聞き入れてはくれませんでした。

 さてドラマではどうなっていくのでしょう。万太郎が大学を出入り禁止となるストーリー展開は、史実に沿ったものになっています。ムジナモの発見は出入り禁止の「引き金」であって、それまでにも万太郎と田邊教授の関係に、とても複雑な緊張があったことが丁寧に描かれていました。

 そしてムジナモの論文発表に至って、ついに教授は自分よりも植物学会において強い存在感を放つ万太郎を「追放」することを決めたのです。

 言うまでもなく「自叙伝」は牧野博士の視点のみで書かれたものです。矢田部教授から見た「牧野富太郎」のことは分からないのです。ドラマの脚本家は、その矢田部教授の思いを想像して汲み取りながら、田邊教授という複雑性のある魅力的なキャラクターを構築し、その難しい役柄を要潤という俳優が見事に演じているように思います。互いの力を認め合っている2人は、今後どのようになっていくのでしょう。(竹内 一)

ムジナモ発見を巡る牧野富太郎博士の史実を解説した記者トークはこちらから↓


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