2023.07.15 08:45
「MAKINO―植物の肖像展」きょう7/15開幕 牧野標本の美しさ再び ビロードムラサキで包む

「ビロードムラサキ」標本の保管場所の変遷(C)Makino Botanical Art Project・公益財団法人高知県牧野記念財団
今回の企画展「MAKINO―植物の肖像展」は、牧野植物園の二つの展示室を使っています。

バイカイカリソウ(1889年、佐川町)=菅原一剛撮影
今回展示される植物標本写真は、高さ1・5メートル、幅1メートルのビッグサイズのプリントです。菅原さん自らがプリントしたものです。高精細な15Kデジタルカメラで撮影されたものですから、その植物の細部まで鮮明に見ることができます。牧野博士が見ていたであろう植物のディテールを「体感」してもらおうという試みです。
実際の植物標本には、それぞれの部位を固定するためのテープが貼られています。それをデジタル技術で取り除きました。さらに植物標本に書き込まれている記載なども省かれているために、本来の造形のみが表現されています。植物それぞれの個性がより際立ちました。ポートレート(肖像写真)を数多く手掛けてきた菅原さんは、これらの牧野標本を「植物の肖像写真」として捉えているのです。

植物採集時の牧野博士イラストレーション(里見和彦作成)
センダイヨシノ、ノジギク、ヒメアジサイ、ユキワリイチゲなど標本の実物が展示されるほか、そうした植物がいつどのように採集されたのかをイラストなども使って解説します。また、牧野博士が尊敬していたロシアの植物学者、マキシモヴィッチとの交流を伝える史料、妻の名前を冠した「スエコザサ」発見のストーリーなどを紹介します。
里見さんは「牧野標本の美しさを捉えた菅原さんの写真に驚いて、さらに牧野さんの標本が好きになった。枯れたように見えるけど、まだ生きているような植物標本の価値を感じてもらえれば」と話しています。(竹内一)
「MAKINO―植物の肖像展」は10月1日まで県立牧野植物園で開催される。展覧会は無料で入園料(一般730円)は必要。会期中無休。