2023.02.26 00:01
広告特集【BOTA! 探求人応援プロジェクト】<探求人紹介①> 高知県立牧野植物園 植物研究課 主任 田邉由紀さん
高知県立牧野植物園
植物研究課 主任 田邉 由紀さん
大きくなっても見つかります!
大卒後、専門学校へ
ある時、C.W.ニコル氏が創設者の一人の、自然環境と野生動植物の保護に関わる知識・技術を身に付ける専門学校があると知り、受験を決意。東京の専門学校に進学しました。1年生の夏休みに、環境省のアクティブレンジャーとして国立公園のパトロールをしたことが、植物に興味を持つきっかけになったといいます。一緒に活動していた先輩が植物に詳しく、草花の名前や特徴、虫との関係性を教えてもらううちに楽しくなり、どんどん知識を広げていきました。
仕事が面白い!
その後は市民協働で行う調査の担当となり、2013~14年にかけては、県内に生育するスミレの仲間を各地で採集、標本にして分布を調べました。
15年からはタンポポ調査・西日本高知県事務局の担当となり、5年に1度、大がかりな調査を行っています。タンポポ調査・西日本とは、京都府、島根県、和歌山県、香川県、高知県など17の府県が一斉に行い、どこにどんなタンポポが咲いているかを調べて、その変化を見るもの。住人がいなくなった集落や、草刈りをしなくなった草原でタンポポが生えなくなった事例もあり、タンポポと人の暮らしには密接な関係があることが分かってきたそうです。
標本を作る段階では分からなかったことが、時間の経過とともに見えてくるのも、この仕事の魅力。現在、田邉さんは県内各市町村でどんな植物が生えているか調べる「野生植物分布調査」や特定外来生物(植物)の防除活動も手がけ、「データを集めていくうちに、その原因や周りの植物に及ぼす影響などが見えてきます。在来種が特定外来生物に駆逐されないように手だてを考えることも私たちの仕事です。絶滅危惧種をはじめ、地域の自然を守り、できるだけ原風景を残して次世代へ引き継いでいきたいです」と話します。
「?」は好きの始まり
「普段は大ざっぱな性格で、集中力もありません」という田邉さんですが、その種の特徴が分かるよう、既定のサイズに収めるために工夫して標本を作ったり、採集した時のストーリーを想像しながら標本を見たりするのが好きで、何時間でも夢中になれるのだそう。「植物観察の面白さを知ると、散歩が楽しくなります。知らなかったことに気付くって、楽しいですよ」と、自分自身でその興味の芽を育んできました。
「大きくなっても好きなことは見つけられます。いろいろなことに興味を向けていると、いつか好きだと思えること、面白いと思えることに出合えますよ」