2022.10.21 18:43
【写真特集】巨人育成3位 明徳・吉村優聖歩の熱投を写真で振り返る
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高知打線を10回途中まで1点に抑えた明徳先発の吉村(春野球場)
センバツ帰りの明徳は、先発メンバーに4人の1、2年生を起用。秋からほぼエース代木に頼り切っていたマウンドも、2年生投手2人に託した。結果は相手打線を見事に抑え、接戦を制する原動力になった。
公式戦初登板で存在感を示したのは先発左腕吉村。外角ストレートでカウントを稼ぎ、変化球でタイミングをずらしながら、最後は内角ストレートで仕留めにいった…。
新田打線を3安打完封した明徳先発の吉村(レクザムスタジアム)
横手投げ転向1カ月の左腕吉村はわずか3安打2四球と、文句のつけようがない完封勝利。2週間前、高知とのチャレンジマッチで演じた快投を、もう一つ上の舞台でも再現した形だ…。
6回表途中からリリーフし、2安打1失点と好投した明徳の2番手吉村(甲子園)
流れるような足の運び、ボールを吸い込むようなグラブさばき、力強く正確な送球。3日間降り続いた雨が上がり、ようやく球音が戻った甲子園に、明徳の堅守が陽光以上の輝きを放った。
エース代木は六回途中までの3死球で分かるように、制球が不安定だった。それでもチームが2失点でどうにか我慢できた要因は、捕手加藤の好リードとバックの踏ん張り、そして2年生左腕吉村の落ち着いた投球だ…。
投球だけでなく、打撃やバントも猛特訓中の吉村
力投を続けてきたエース代木が、突如招いてしまった大ピンチ。ボールを受け取ると、塁上の走者を一歩も動けないままにして、肩で風を切ってベンチに駆け戻る。何とも頼もしい姿を見せておきながら、試合後のコメントは「緊張した」だったりする…。
智弁学園戦に先発し、5安打3失点に抑えて好投した明徳の吉村(甲子園)
明徳ナインの視界を最後に飛んだ打球は、二塁手後方に力なく上がった飛球だった。この日先発の2年生左腕吉村が、これまで20本近く打たせてきた凡打と、さほど違いはないようにも見えた。だがここは同点の九回裏、無死満塁。打球がほんの少しだけ伸びて地面に落ちた瞬間、それは夏の終わりを意味する…。
11イニングを無失点に抑えた明徳のエース吉村。134球の熱投だった(春野球場)
「先に点を取られたら負ける」。0―0の八回。真剣で斬り合うような緊迫した空気が満ちるマウンドで、明徳のエース吉村は焦燥感と戦っていた。2安打されて1死一、二塁のピンチ。ただ「そんな時こそ冷静に。低めに投げて内野ゴロでゲッツー」。必殺の内角攻めで狙い通りに併殺。流れを渡さなかった…。
11回表明徳の守り、2死二、三塁のピンチで、マウンドのエース吉村=右=に声を掛ける捕手林(西条ひうち球場)
「ボール球は打たない」「バントは決める」「エラーはしない」。明徳が負けるのは、この三つのいずれかが崩れた時だ。
好投手同士、緊迫した投手戦となった準決勝は四回以降、2―2の膠着(こうちゃく)状態が続いた。明徳にとって何が何でも欲しかった勝ち越し点は、ボールの高低の見極めが甘くなって13三振に倒れ、ついぞ手にできなかった…。
高知打線に15安打を浴び7失点しながら完投勝利した明徳のエース吉村(春野球場)
1点リードの最終回、7失点しながらもマウンドに立ち続けてきた明徳の左腕吉村に最大の試練が訪れた。不運な安打も重なった1死二、三塁で申告敬遠の満塁策。一打逆転サヨナラの大ピンチだったが、「何のために明徳に来た。腕を振れ」。捕手林の言葉に強気な自分を取り戻し、渾身の外角直球。連続三振にねじ伏せて猛打、好守で支えてくれたナインと喜びを分かち合った…。
強打の九国大付打線を5安打2点に抑えて好投した明徳のエース吉村(甲子園)
この試合の明徳を象徴するような一打だった。三回、1点を先制し、なお1死一、三塁で3番田中。初球から打って出たが、4―6―3の併殺。馬淵監督が「うちの流れにできんかった」と残念がった場面だが、その後も、高知大会決勝で逆転劇を演じた打線が目覚めることはなかった…。