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2022.07.20 08:40

思いっきり楽しみたい ただ一人の3年生―よさこいのある夏に! 2022特別演舞(1) 〈高知 よさこい 2022〉

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後輩に踊りを指導する越尾俊介さん=手前(高知市の高知大学)

後輩に踊りを指導する越尾俊介さん=手前(高知市の高知大学)

 炎天下の、高知大学朝倉キャンパス。テニスコートでは真っ黒に日焼けした学生たちがラケットを手放し、へばっていた。その脇のアスファルトの広場で、「よさこいチーム炎(ほむら)」の女子学生たちが袖をまくり上げ、真っ白な腕を見せて笑顔で踊っていた。

 「ワン、トゥ、スリー、フォッ」。カウントを取るのは、チーム代表の越尾(こよお)俊介さん(21)=高知大、岡山県出身。チームでただ一人の3年生だ。

 ようやく自分の夏が始まる。待ちに待った、初のよさこいで踊ることができる。そんな期待に胸を躍らせ、何度もメモ帳を開いて振り付けを確認。「前に進みながら踊るって超難しいですよ。よさこいを踊ったことがないんで、イメージが湧かないってのもあるんですけど」。熱心に後輩を指導している。

 炎は高知大生と県立大生のチーム。例年の祭りでは3年生が楽曲や振り付け、運営を担うが、新型コロナ禍で2年連続の中止に。「よさこいができないのなら」とメンバーは1人欠け、2人欠け…。当初8人いた越尾さんの同級生は「気付けばいなくなっていた」。昨年11月の新体制始動時、3年生は越尾さんだけだった。

 振り返れば2020年春、入学式もないまま大学生になった。8月まで毎日、岡山の実家でオンライン授業を受け、高知に来たのは9月だった。

 ある日。学食前の自転車置き場で「ぽけーっと」していたら「たまたま『炎』の人に声を掛けられた」。参加した新入生歓迎イベントで、よさこいに出合った。軽い気持ちで練習に参加すると「楽しかった。明日も行こう、明後日も行こうってなって…。そのままどっぷり、はまっちゃいました」。

 先輩が祭りで踊る姿を何度も動画で見た。「僕も地方車のライトを浴びて、かっこよく踊りたい。街で大勢のお客さんに見てもらいたい」。その思いばかりを募らせてきた。授業の空き時間には練習日程を考え、歩いている時には自然とステップを踏んでいた。頭の中は、よさこいでいっぱいだった。

 「必死になる楽しさ、努力の大切さを人生で初めて知れたのがよさこいなんです」

 今春。2年生と一緒に勧誘活動に励み、1年生12人が加わった。今夏はOBも含め総勢約40人で踊る予定だ。

 代表になった頃は「頼りないと思われたくない」といつも悩んでいた。だが、「『楽しみたいですよね』って後輩に言われて。1人で頑張らなきゃって思っていたけど、違うと分かったんです」。

 よさこいの経験がないのはみんな同じ。今では後輩たちに気軽にアドバイスを求めるようになり、「『代表が楽しそうだから、私たちも楽しい』って言われる」とほほ笑む。

 「いつも自信がなかった自分が、よさこいのおかげで明るくなれた。特別演舞が一生の思い出になるよう、みんなで思いっきり楽しみたい」

 □   □ 

 新型コロナ禍で中止となった「よさこい祭り」の代替イベント「2022よさこい鳴子踊り特別演舞」(8月10、11日)が近づいてきた。参加予定の人々は、新型コロナ対策などに四苦八苦しながら着々と準備を進めている。

 3年ぶりの「よさこいのある夏」へ。意気込む人々を訪ねた。(報道部・浜田悠伽)

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