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2024.04.20 05:00

小社会 災間を生きる

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 「僕たちは災害と災害の間を生きている」。県西部が震度6弱の揺れに見舞われた17日深夜。8年前、宮城県の高校生に教えてもらった「災間を生きる」という言葉を思い出していた。

 東日本大震災の語り部として来高。「震災体験は持っているだけなら嫌な思い出。話すことで命を救う価値を持つ情報になる」という先輩の言葉に触れ、語り部になった。「自分が人の命を救える可能性が少しでもあるならやっていきたい」

 宮城県沖の地震の平均発生間隔は38年というが、南海トラフ地震はその約3倍といわれる。昭和南海地震から80年近く。災間の長さは語り継ぐ人を喪失させ、被災地のリアルは次第に失われていく。

 そんな中、起きた今回の地震は余震の心配は続くものの、幸い被害は最小限にとどまった。昭和南海地震よりも大きな揺れとの評価もある震災の経験。いかに実感を持って防災意識の向上につなげていくかが肝となる。

 「いのぐ」という土佐の古語がある。本紙防災プロジェクトのタイトルでもあり、「しのぐ」「生き延びる」との意味を持つ。先人は自然に多くの恵みを受ける一方で過酷な災害をしのいできた。その道程では先人からの伝承が幾多の命を救ってきた。

 災間を生きる私たちは自然の前では「木の葉」のような存在だが、人と人を「言の葉」でつなぐことで「いのぐ」ことができる。それは全国の語り部たちの願いでもある。

高知のニュース 小社会

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