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2024.01.22 08:00

小社会 派閥としっぽ

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  作家の故・半藤一利さんが9年前の本紙で、「派閥」という語を分析している。まず「派」という漢字は水が分かれて流れるさま、支流を意味する。

 かたや「閥」。出身、利害を共にする者の集まりという意味を持たせたのは日本人で、本来の意味は違うという。門構えの中の「伐」は、戈(ほこ)で人を撃つの意。戦いに勝って凱旋(がいせん)した者が、家の門に功名をあげたことを紙で張り出した。これを閥といったとか。

 昔の自民党総裁選は、派閥の領袖(りょうしゅう)が政治力ですさまじい戦いをした。戦う御大の下に陣がさが集い派閥ができた。ところが、半藤さんの執筆時は安倍1強の政治。主義主張を立てて争うダイナミズムは失われた。派閥は「もはや仲良しクラブ」になったと書いている。

 その派閥を舞台に、国会議員が仲良く甘い汁を吸っていた自民党の裏金事件。岸田派、二階派、安倍派の解散表明が続いた。大きな動きには見える。ただ、それが政治を刷新し、国民の不信を和らげる本質かといえば、疑問がわく。

 解散する派閥からは「人は自然に集まる」「新しい集団をつくる」の声が出ている。何やら、危機に陥ったトカゲの尾の「自切」が浮かぶ。切れたしっぽはのたうち回り、相手の注意を引くのがミソ。うまく逃げ切ったトカゲには、またしっぽが生えてくる。

 注意をそらされてはなるまい。裏金事件はまだ、誰が主導したのか、何に使われたのか、まともな説明がない。

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