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2024.01.01 08:00

【新年に 展望】「春の日差し」を社会に

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 2024年を迎えた。えとは十干が「甲(きのえ)」、十二支は「辰(たつ)」。60年に1度の「甲辰」の年である。「春の日差しが、あまねく成長を助く年」といわれる。
 前回の甲辰は高度経済成長のさなかの1964(昭和39)年。東京五輪や東海道新幹線開通などに日本中が沸いた。いまは当時のような勢いは望めないが、一定の成熟国家となり、国際的地位も高まった。
 量より質の成長が問われる時代。国内外とも閉塞(へいそく)感が漂う新年だが、60年前とはまた違う成長を手にしていきたい。英知で「春の日差し」を実現して。
 まずはウクライナや中東パレスチナ自治区ガザでの戦闘を一日も早く終息させなければならない。民間人が犠牲になり続けている。
 これ以上長期化すれば、国際社会の分断や対立も一段と深刻になる。周辺国の安全保障上のリスクも増しかねない。国際社会が結束して早期の停戦を実現したい。
 気候変動対策も覚悟が問われる。昨年は世界も日本も最も気温が高い1年だった。昨年のように各地で山火事や水害が増えると、社会の不安定さも増す。温室効果ガス削減などに各国が足並みをそろえたい。
 こうした国際協調を占う意味でもことしの各国の選挙は重要になる。間もなく台湾総統選、3月にはロシア大統領選がある。
 最大の注目はやはり11月の米大統領選であろう。結果によっては再び米国政治が混乱しかねず、ウクライナやガザの情勢も左右する。米ロ、米中の緊張も増しかねない。 
 国内政治に目を向けると、ことしは任期満了に伴う国政選挙がないものの、9月で自民党総裁任期が満了となる。岸田文雄政権にとっては真価が問われる年になる。
 自民党は政治資金問題を抱えたまま越年。今月開幕する通常国会を前に東京地検特捜部の捜査も佳境に入るとみられる。岸田内閣の支持率は低迷が続いており、捜査や通常国会の行方によっては政局になる可能性がある。
 政治課題は山積するが、岸田政権は国民への丁寧な説明を欠くきらいがある。防衛費増強や少子化対策の財源問題、増税の開始時期もこれ以上曖昧にすることは許されまい。
 秋には健康保険証の発行が終了し、原則、マイナンバーカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」に移行する。昨年のようなマイナンバーカードを巡る混乱は絶対に避けたい。
 経済では、新型コロナウイルス禍脱却の動きをより確かなものにできるかどうかが正念場となりそうだ。インバウンド需要は急速に回復しているが、賃金や個人消費の伸長が経済再生の鍵を握る。超低金利政策を続ける日銀が金利の「正常化」に踏み出すかどうかも焦点である。
 さまざまな課題を乗り越え、希望を感じられる年にするにはやはり、対話や論議が欠かせない。社会の成長をもたらす「春の日差し」も、きっとその先にあるはずだ。

高知のニュース 社説

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