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2023.11.30 08:00

小社会 しんがり市長

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 気さくでユーモアに富んだ「力やん」に、「改革派」の大二郎さん、「県勢浮揚への熱血漢」だった尾﨑さん。ここ数代の県知事はキャラクターが濃く、それを表す愛称や枕ことばがある。

 県都の高知市長もそうで、横山龍雄さんは、「市民の心を心として」が代名詞。続く松尾徹人さんは「攻めの市政の龍馬市長」。さて、後を受けた岡﨑誠也さんは? これが意外に難しい。よく言われるのは「堅実」だが、前人未到の在任20年だ。ありきたりな表現では物足りない。

 岡﨑さんが市の係長だった時から知る筆者の印象は「しんがり」だろうか。財政難に伴う〝撤退戦〟をどうしのぐか、それが最大の使命だった。役所での出発点も、市民生活の底が抜けないよう守る生活保護担当。自らの原点には迷わず「福祉」を挙げる。

 しんがりは戦(いくさ)で最も難しいとされる。その役目を飄々(ひょうひょう)とこなした。批判を受けても悲壮感を漂わせない。怒る姿や人の悪口を言う姿とは無縁。座右の銘は「内和外順」。それを貫ける人だったからこそ、重圧に耐えられたのかも。

 だが、実務面では失政や不祥事、停滞もあった。果たして20年の総決算は―。多選批判の逆風下で有力候補と競り合った選挙は「負けて強し」の結果であり、何とも絶妙な市民の審判である。

 きのうの退任式。大勢の職員や支持者に見送られ、勝者のように市役所を去った。高知市政の一つの時代が幕を閉じた。

高知のニュース 小社会

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