2023.11.22 08:00
小社会 静ちゃんとよーやん
月・木曜は深夜零時から買い出しへ。車の助手席で静子さんは眠る。「嫁は首を横にがんがん振って舟こぐ。もし角が生えてたら、わしゃ何べん肩を刺されちゅうか。角のない嫁でよかった」と1人噴き出すよーやん。
2時間ほどで高知市の市場へ。まず仮眠。眠れぬ時は話す。「市場のあの奥さん存外きついねとか、あの旦那は焼きもちやきやとか。そんな話」と笑うよーやん。まだ朝3時。「いかんメモ帳忘れた」と静子さん。村で就寝中の息子へと電話。「メモ読んでやーて、たたき起こした。こんな時間に起こすかと息子怒ってた」と静子さんもつい笑う。
さて買い出し開始。刺し身用の魚、乾物、総菜…。まだ客もいない店々を巡る。「おはよ」という静子さんの優しい声と、店主たちの情のある応答と表情に、長い歴史が映っている。
往復140キロを超える買い出しは61年続いてきた。山奥の高齢者にとってライフラインのような村唯一の商店だが、さすがに体はきつい。二人は近く店じまいを考えている。よーやん、とうとうおしまいにされる? 「何と? わしらの結婚生活のことかよ。誰が言うたか」と、またおとぼけのよーやん。
きょう11月22日は「いい夫婦の日」。お二人長年、ご苦労さまでした。