2023.11.14 08:25
専門家の授業をヒントに 性教育を家庭で行うには?―ココハレ ピックアップ
年長児向けの性教育の様子。赤いハート形の紙に受精卵の大きさが記されていました (高知市桜井町1丁目の桜井幼稚園)
◇
性教育は今、性の知識だけでなく、命の尊さや、自分や相手を大事にする心を育てる「命の教育」とされています。幼い頃から家庭で少しずつ取り組むことが大切で、「おうち性教育」という言葉も生まれています。
ですが、今の親世代はこうした性教育を受けていません。「何歳で何を伝えたらいい?」「わが子に話す自信がない」。そんなお父さん、お母さんに向けて、ココハレでは「性教育」というコーナーを設け、特集しています。
9月に紹介したのは桜井幼稚園(高知市)の年長児を対象にした「いのちのおはなし」。助産師の谷泰子さんが講師を務め、保護者も参観しました。
命の誕生について、谷さんはこう語り掛けました。
「お母さんが持っている命のもとが卵子、お父さんが持っている命のもとが精子。一つの卵子と一つの精子が結び付いて、受精卵になります」
「胎盤」「子宮」など難しい言葉も出ましたが、子どもたちは騒ぐことなく、耳を傾けました。「プライベートパーツ(ゾーン)」については「大事な場所」「人のを勝手に触ってはいけない」と学びました。
「幼児も中学生も、伝えたいことは同じ。発達段階に応じて説明しています」と谷さん。例えば、幼児に「赤ちゃんはどうしてできるの?」と聞かれた時は、「パパとママが『赤ちゃんに会いたい』と望んだら、あなたがおなかに来てくれたのよ」。照れたりせず、「コウノトリが運んできた」などとごまかしたりもせず、わが子に分かる言葉で伝えたらいいそうです。
性教育の最新の話題についても紹介しています。9月に高知市内で開かれたセミナーでは、国立病院機構高知病院の産婦人科医長、滝川稚也さんが「包括的性教育」を解説。「子どもたちに科学的に正しいことを伝え、自分の体を守る気付きを与えていくもの」と語り、性教育の世界的な指針である「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」をひもときました。
親から子への性教育はわが子の命を守るだけでなく、「あなたはかけがえのない存在」「生まれてきてくれてありがとう」と伝える機会にもなります。ご家庭で始めてみませんか。(門田朋三)
「性教育」に関するココハレの記事はこちらから