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2023.10.12 08:41

「魚がいれば必ず病気がある」アユの病気を大規模調査へ 高知大研究室が資金募集―魚信 はっぴぃ魚ッチ

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「川で起きていることを正確なデータで伝えたい」と話す今城雅之准教授

「川で起きていることを正確なデータで伝えたい」と話す今城雅之准教授

 「魚がいれば、そこには必ず病気がある。新型コロナと同じような世界。問題を解決するには“町医者”が必要なんです」

 7日に四万十町で開かれた高知大学創立75周年記念シンポジウム「最後の清流四万十川と共に豊かな暮らしを続けるために」で、同大の今城雅之准教授が講演した。

 今城先生は約10年にわたり、県内のアユの病気を調査している。死んでいるアユの連絡を受けると現場に駆けつけて回収し、原因を調べていく。プライベートな時間はあるのだろうかと思うほどの熱心さだ。

 今、厄介な病気は主に三つ。冷水病、温水病、エロモナス症だ。

 水温16~20度で発生する冷水病は、特に被害が大きい。1990年代以降、菌を持つ琵琶湖産アユの放流で全国に広がった。いったん川に入ったら、完全に取り除くことはできないという。

 県内でも毎年、多くの河川でアユが死んだり弱ったりする症状が見られる。釣り師はぎらぎらしたアユと対決したいのに、釣れないし、釣れても手応えがいまひとつ、なんてことも珍しくない。

 今城先生はそんな病気を科学的に分析し、対策の基礎をつくってくれる。四万十川の調査では、毎年4、5月ごろのアユに冷水病が多く見られるが、実は産卵期を迎える11、12月に菌数がピークを迎えていることが分かってきたという。

 「成熟に伴って免疫力は落ちる。卵を産む前に冷水病で死んでしまっている可能性を調べる必要がある。病気が翌年の資源に影響しているかもしれない」

 悲しい話だが、先生の言葉を裏返せばこうだ。原因をつかみ、対策が打てればアユ資源回復の大きなステップになる―。

 実は冷水病用のワクチンも「技術的には可能」だが、現状は採算が合わないため進んでいない。

 魚病研究は水産業を支えている。商業目的の養殖ならば「魚を病気から守る=利益」なので、研究への理解を得やすい。一方、主に遊漁の対象であるアユでは、十分な研究費を確保するのが難しいという。

 今城先生は「高知をアユの防疫対策の先進県にしたい」と熱い。今後3年間、産卵期のアユの感染状況などをPCR検査と遺伝子解析で解明するプロジェクトに取り組む計画で、不足する費用をクラウドファンディング=11月30日まで=で募り始めたところだ。

 釣り師の楽しみを支えてくれる研究を、川やアユを愛するみんなで支えませんか。(本紙・ハチ)

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