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2023.10.03 08:00

【大谷が本塁打王】二刀流をさらなる高みへ

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 投打の「二刀流」が新たな地平を切り開いた。歓喜と祝福の声は出身地の岩手県はもちろん、日本国内にとどまらない。大勢のファンとともに喜びたい。
 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平がアメリカン・リーグの本塁打王に輝いた。日本選手初の快挙だ。
 自身はメジャー6年目で投打を通じて初タイトルを手にした。輝かしい金字塔を「大変恐縮であり光栄なこと」と、人柄をにじませるように控えめに喜び、チームメートやファンに感謝した。
 これまでにタイトル争いを制した日本勢には、野手のイチローや投手の野茂英雄、現役選手ではダルビッシュ有がいる。首位打者や最多奪三振などの栄冠を勝ち取った。大谷は本塁打王として名を連ねることになった。言うまでもなく、投打でのさらなる活躍が期待される。
 プロ野球日本ハムからエンゼルスに移籍してからも二刀流を進化させ、「野球の神様」ベーブ・ルースが持ち出されるような歩みを刻んできた。今季は史上初となる2度目の「2桁勝利、2桁本塁打」を2年連続で達成した。10勝、40本塁打の到達もメジャー初の偉業となった。
 豪快な本塁打を打ち、強打者を打ち取る。真剣勝負のぴりぴりとした緊張感の中で、二刀流は心身の負担が大きいに違いない。それにもかかわらず、大谷からは野球を楽しんでいる印象を受ける。多くの人に好感を持たれる要因でもあるだろう。
 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、日本の優勝に貢献した。決勝は九回に抑えで登板し、最後の打者を空振り三振に仕留めると珍しく感情を爆発させた。ベンチに向かって叫び、グラブと帽子を投げ捨てて両手を広げて喜びをあらわにした。
 この試合に先立ち、ロッカールームでチームメートを鼓舞した「憧れるのをやめましょう」は語り草だ。対戦チームの米国には名だたる選手が並ぶ。憧れていたら超えられないと、勝利への強い決意を示した。
 自身の経験が語らせたのだろう。その姿勢がレギュラーシーズンでも発揮されたからこそ、一連の記録につながったはずだ。
 残念ながら、けがのためシーズン途中でチームを離れた。靱帯(じんたい)を損傷した右肘は2度目の手術に踏み切った。靱帯損傷が判明してからは登板しなかったものの打者では出場を続け、右脇腹を痛めている。二刀流を持続する難しさを物語る。
 本拠地アナハイムで行われた今季の球団の最優秀選手(MVP)などを表彰するセレモニーに、手術後初めて公の場に姿を見せた大谷は右肘を固定しているようだった。ファンからは今季の活躍への称賛と早期の回復を期待する歓声が送られた。
 来季は開幕から打者として出場し、翌年には二刀流復帰を描く。今オフにフリーエージェントとなるため、その動向も気になるが、まずは治療が最優先だ。手術の苦難は以前も乗り切っている。全治後に一段と進化した姿を見たい。

高知のニュース 社説

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