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2023.09.30 09:10

プラごみ、どこまで洗う? 松山市などは異物除去し、すすぐ程度に 頑固な汚れは可燃でOK【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

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コンベヤーの上を流れるプラスチックごみを手作業で選別する従業員(松山市南吉田町)

コンベヤーの上を流れるプラスチックごみを手作業で選別する従業員(松山市南吉田町)

 「プラスチックごみの汚れはどれぐらい落とせばいいのか」「節水との兼ね合いは?」―。家庭から出るプラスチック製の容器や包装の処理方法について、愛媛新聞「真相追求 みんなの特報班」(通称・みん特)に複数の投稿が寄せられた。水不足の不安や、近年の水道料金引き上げの動きもある中で、どのように対応したら良いのか調べてみた。

 分別のルールは自治体により異なる。節水型都市づくりに取り組む松山市と読者の疑問があった砥部町に聞いた。両市町では、食品用トレーや調味料のチューブといった「プラスチック製容器包装」の分類があり、汚れは落として出す。

 どれくらい除去すればよいかについて、両市町とも「明確な基準の設定は難しい」とした上で、それぞれ見解を示してくれた。

 松山市清掃課によると、米粒や残り汁といった異物が付着していないことが基本。事前に古布などで汚れを除去していれば、食器を洗った後の水ですすぐ程度で良いという。担当者は「リサイクルするプラスチックの品質が上がるので、きれいにしてもらえるほどありがたいが、できる限りで構わない」とする。

 砥部町生活環境課も同様に、洗剤を使ってまで洗う必要はなく、目視で汚れが見当たらなければ大丈夫との認識だ。大量の水を使わなければならないほど除去が難しい場合は、可燃ごみで出しても構わないという。

 同町は、松山市への可燃ごみ処理の委託に合わせ2021年度からプラスチック製の容器や包装の分別を始めた。担当者は、同町で収集したもののうち、汚れの付着などで再利用できないものを取り除き、リサイクル工場に回った割合(製品化率)は、21、22年度ともに約95%と高いと指摘。「町民がかなり協力してくれている。水道の使用量も増えたということはない」と話した。

 実際に、ごみの汚れはリサイクルにどんな支障を来すのか。松山市の委託を受け、収集と選別に携わる松山容器(松山市南吉田町)を訪ねた。

 企画戦略部の野中佑也部長(42)は、まず食べ残しや調味料などの異物が容器に残ったままだと、収集車で圧縮した際に中身が出てしまうと説明。「一つの汚れがほかのプラスチックにも及び、せっかくきれいにしていたものまでリサイクルできなくなる」とする。

 汚れ以外にも、規定外のごみが含まれていると、ラインを止めなければならないケースもあり、分別自体にも注意が必要。野中部長は「リサイクル率の向上は家庭の取り組みにかかっている」と強調している。(愛媛新聞)

▼高知では
基準不明確 「常識の範囲で」
 高知県環境対策課によると、プラスチック容器包装を分別回収しているのは、2022年4月時点で県内13市町村(5市、5町、3村)。県人口の7割が対象となる。白色トレイのみを分別する中土佐町など、ルールは自治体によって異なる。

 高知市は、減容工場でプラごみから異物を取り除いて圧縮梱包し、リサイクル工場に搬入する。ただ、回収されたプラごみの20~25%は汚れが付いていたり、対象外のペットボトルが入っていたりして、リサイクルには回らないという。

 市はごみ出し前に中身を使い切り、簡単に水洗いをするよう呼び掛けているものの、「汚れや除去の基準を明確に言うのは難しい」(担当者)とする。

 南国市も同様だ。異物をどこまで除くかの明確な基準はなしとし、「汚れのひどいごみ、大量の油が付いた容器は『常識の範囲』で可燃ごみに出してほしい」と話す。

 県環境対策課は「国は今後、包装だけでなく、おもちゃなど他のプラ製品のリサイクルも進めていく意向だ。各自治体のルールに従って、SDGs(持続可能な開発目標)の意識を高めてほしい」としている。(山崎彩加)



 県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。

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