2023.09.27 08:36
世界パラクライミングで前岡ミカ(高知市)が準優勝 1位と僅差「次は完登を」
仕事後にジムで練習に励む前岡ミカ=高知市南川添の「Stone0(ストーンラブ)」
スポーツクライミングのリード種目と同じルールで、6分以内に高さ十数メートルの壁をどこまで登ったかで勝敗を決める。神経障害、切断を含めた3部門で、さらに障害の程度に応じてクラス分け。28年米国パラリンピックの追加競技候補でもある。
前岡と夫で全盲の正人さん(52)は、陸上の全国大会で数々の実績を上げている強豪選手。クライミングにも夫妻で打ち込み、10年に初開催された視覚障害の世界大会(千葉)では、それぞれ2、5位に食い込んでいる。
世界選手権は、2年に1度の最高峰の舞台。今回の日本勢は16人中9人が決勝に進み、金3、銀3、銅2と活躍した。コロナ禍で21年ロシア大会を辞退した前岡にとっては、12年フランス大会以降3度目の出場。選手不足でクラスが成立しなかったこれまでとは違い、初めて予選を戦った。
直前までコースは不明。記憶力に加え、「○時(の方向)、小さめ」などとホールド(突起物)を声で伝えるサイトガイドとの信頼関係も重要だ。今大会は普段タッグを組む県内のパートナーが不在という難しさもあったが、代表仲間のガイドが助けてくれた。
12分間で2ルートに挑む2人落ちの予選を1位で突破し、3人での決勝は最後に試技。序盤の要衝の29手目まで登ったが、30手目をつかむムーブ(動き)を起こすことはできず落下。「終わったなと思っていた」が、30手目にムーブしたインドの選手とは僅差で2位に入った。ただ、「まだ余力もあった」と悔しい銀メダルでもあった。
メダルをかけ、サイトガイドとともに準優勝を喜ぶ前岡=左端(8月10日、スイス・ベルン)
目下の目標は、10月末のジャパンシリーズ第1戦。次は夫妻で世界切符を取りに行く。(横田宰成)