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2023.09.27 08:36

世界パラクライミングで前岡ミカ(高知市)が準優勝 1位と僅差「次は完登を」

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仕事後にジムで練習に励む前岡ミカ=高知市南川添の「Stone0(ストーンラブ)」

仕事後にジムで練習に励む前岡ミカ=高知市南川添の「Stone0(ストーンラブ)」

 8月にスイスで開かれたパラクライミングの世界選手権で、日本代表の前岡ミカ(59)=高知市=が女子視覚障害B3(弱視)クラスで準優勝を飾った。体験教室を機に競技を始めて15年。マスターズを制した2014年スペイン大会に続くメダルで、予選を勝ち抜いての表彰台は初めてだ。「低い位置で落ちたので」と控えめに喜び、「次は順位よりも完登したいです」と向上心は尽きない。

 スポーツクライミングのリード種目と同じルールで、6分以内に高さ十数メートルの壁をどこまで登ったかで勝敗を決める。神経障害、切断を含めた3部門で、さらに障害の程度に応じてクラス分け。28年米国パラリンピックの追加競技候補でもある。

 前岡と夫で全盲の正人さん(52)は、陸上の全国大会で数々の実績を上げている強豪選手。クライミングにも夫妻で打ち込み、10年に初開催された視覚障害の世界大会(千葉)では、それぞれ2、5位に食い込んでいる。

 世界選手権は、2年に1度の最高峰の舞台。今回の日本勢は16人中9人が決勝に進み、金3、銀3、銅2と活躍した。コロナ禍で21年ロシア大会を辞退した前岡にとっては、12年フランス大会以降3度目の出場。選手不足でクラスが成立しなかったこれまでとは違い、初めて予選を戦った。

 直前までコースは不明。記憶力に加え、「○時(の方向)、小さめ」などとホールド(突起物)を声で伝えるサイトガイドとの信頼関係も重要だ。今大会は普段タッグを組む県内のパートナーが不在という難しさもあったが、代表仲間のガイドが助けてくれた。

 12分間で2ルートに挑む2人落ちの予選を1位で突破し、3人での決勝は最後に試技。序盤の要衝の29手目まで登ったが、30手目をつかむムーブ(動き)を起こすことはできず落下。「終わったなと思っていた」が、30手目にムーブしたインドの選手とは僅差で2位に入った。ただ、「まだ余力もあった」と悔しい銀メダルでもあった。

メダルをかけ、サイトガイドとともに準優勝を喜ぶ前岡=左端(8月10日、スイス・ベルン)

メダルをかけ、サイトガイドとともに準優勝を喜ぶ前岡=左端(8月10日、スイス・ベルン)

 伴走者と走って距離を出すマラソンと比べ、「頑張ってもゴールできるとは限らない。その難しさが魅力」と2人。背中の筋力の使い方や持久力などの強化を課題に挙げ、「最後まで登り切りたい」と口をそろえた。

 目下の目標は、10月末のジャパンシリーズ第1戦。次は夫妻で世界切符を取りに行く。(横田宰成)

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