2023.09.09 08:00
小社会 賽の目
いわゆる「天下三不如意」。京の都では鴨川の洪水は天災の代表だったろうし、強訴を繰り返す僧兵も今でいう強力な圧力団体にほかならない。ただ、残る「雙六の賽」の解釈は諸説あるようだ。
思うに任せない雙六賭博の取り締まりとか、サイコロ占いの結果だとか。近年は、雙六の腕前が上達しない法皇自身の不満とする見方もあるようだ。いずれにせよ、サイコロの目は単なる確率。権力者も運に頼るしかない。
カジノを中心とした大阪の統合型リゾート施設(IR)で、工程などを定めた実施協定案が公表された。開業が2030年秋ごろにずれ込むとはいえ、計画はより具体化。さぞ地元は盛り上がっているだろうと思いきや、市民団体が国に認定取り消しを要請していた。
収支見通しへの疑念に加え、いまだ具体策が示されないギャンブル依存症対策などに不安があるようだ。そうした声を置き去りにして地元の理解は得られまい。
カジノは安倍政権時に成長戦略の柱と位置付けられたが、果たして国や自治体が目指すべき未来像なのか。ばくちに付きまとう光と影。サイコロの目はどちらに転ぶのだろう。運頼みでは困るのだが。