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2023.08.18 07:50

田邊教授命名の「キレンゲショウマ」は史実 教授のモデルは矢田部良吉、日本の植物学の礎築く

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@NHK

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↑高知新聞記者が朝ドラ「らんまん」第20週について語ります。

 朝ドラ「らんまん」第20週の週タイトルは「キレンゲショウマ」です。日本原産でアジサイ科キレンゲショウマ属の多年草です。紀伊半島や四国山地などに自生する希少な美しい花として知られています。宮尾登美子の小説「天涯の花」でも象徴的に登場する植物です。

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 ドラマに登場する田邊教授(要潤)は、植物学者の矢田部良吉(1851~1899年)をモデルとしてキャラクターが造形されています。牧野富太郎博士の著書「自叙伝」では、自分を東大植物学教室を追い出した「敵役」としてつづられている人物です。ですがドラマでは、なかなかに魅力的な人物として登場しています。

万太郎の味方か?敵か? 朝ドラ「らんまん」の田邊教授役・要潤さんにインタビュー!【web限定】

高知県梼原町東川の自然植物園「百一草園」で咲くキレンゲショウマ

高知県梼原町東川の自然植物園「百一草園」で咲くキレンゲショウマ

 ドラマで描かれた通り、矢田部教授はキレンゲショウマを新種の植物として発表しました。学名には矢田部の名前が刻まれました。矢田部教授は松村任三助教授とともに日本各地で精力的な植物採集を行い、日本の標本コレクションの基礎を築きました。

 長らく高知県立牧野植物園に勤務して、現在は国立科学博物館の陸上植物研究グループ長を務める田中伸幸さんは自著「牧野富太郎の植物学」(NHK出版)で、矢田部教授のことを以下のように評しています。

〈牧野は、「日本の植物学の父」あるいは「日本の植物分類学の父」などと呼ばれることが多い。「父」とは、その分野を築いた創始者であるから、その分野において、のちに業績をより挙げた人がいようとも、父はそれに取って代わるものではない。とするならば、「日本の博物学の父」は、紛れもなく田中芳男であり、「日本の植物学の父」と称されるべきなのは、矢田部良吉である。牧野富太郎が東京大学に出入りした際には、それらの標本を資料にして、日本の植物を研究していくお膳立てができていた〉

 ドラマで田邊教授は「このキレンゲショウマは、世界でもまれに見る特異な植物であり、この1種のみで一つの属を構成する、新属新種である」と証明するに至ります。高知の虎鉄(寺田心)から送られてきた同じ植物の標本を元に研究を進めていた万太郎(神木隆之介)でしたが、田邊教授に先を越されてしまいました。しかし万太郎は田邊教授に賛辞を送りました。

 そして、田邊教授は大学から非職を命じられます。これも史実に沿ったエピソードです。(竹内 一)

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