2023.07.11 08:14
「石版印刷機を買いたい!」寿恵子の決断に驚く万太郎 実は牧野博士も印刷機を購入していた! 朝ドラ「らんまん」
石版印刷を学ぶ万太郎(神木隆之介)。右は印刷所主人の大畑義平(奥田瑛二)©NHK
自分に何ができるのだろう? 寿恵子は悩んでいます。彼女は思い立って、万太郎が働いていたこともある石版印刷所を訪ねました。
石版印刷のやり方を見て回ります。印刷の機械の大きさにも関心を寄せます。そして印刷所の主人たちに告げるのです。自分たちで石版印刷機を買いたいと。
びっくりするような寿恵子の決断ですが、実は実際の牧野富太郎博士も石版印刷機を自ら購入しているのです。
「らんまん」をもっと深く、もっと楽しく! 牧野富太郎博士の特設サイトはこちら!
©NHK
博士は晩年の著書である「牧野富太郎自叙伝」の中で、こんなふうに書いています。
〈一年間神田錦町の小さな石版屋で石版印刷の技術を習得した。石版印刷の機械も一台購入し郷里へ送った。併(しか)しその後出版はやはり東京でやる方が便利なので、郷里でやる計画は止めにした〉
博士はさらりとしたものですが、ドラマの万太郎は荒っぽい職人たちにもまれながら必死で技術を習得しようとします。その姿が丁寧に描かれていて面白いですね。
やがて博士の経験は「日本植物志図篇」という石版による印刷物になって結実します。「植物学雑誌」を刊行した翌年のことです。
〈私の考えでは図の方が文章よりも早わかりがすると思ったので、図篇の方を先に出版したわけであった。この第一集の出版は、私にとって全く苦心の結晶であった。日本の植物誌をはじめて打(うち)建てた男は、この牧野であると自負している〉
ここには、よく知られているジョウロウホトトギスの植物図が掲載されました。この図は印刷技術も含めた見事なもので、植物学者たちからも絶賛されることになるのです。
高知新聞ウェブサイトにも関連する記事がありますので、ご覧ください。(竹内一)
■植物学の雑誌を作る!意気込む万太郎たち 牧野富太郎も石版印刷所で修業 【復刻連載記事】日本植物誌作りたい
4月の「らんまん」放送開始以降、高知新聞ウェブサイトでは多くの関連記事を公開しています。今後もドラマの内容に関連した記事をタイムリーに公開し、紙面でも随時紹介します。