2023.06.13 08:25
「いのちの教育」県内浸透を 助産師・関さん(県看護協会)推進―ココハレ ピックアップ
助産師の関正節さん。「子どもを取り巻く環境を変えたい」とパワフルに活動しています(高知市池の高知医療センター)
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県看護協会(高知市朝倉己)で1月、シンポジウムが開かれました。関さんは助産師職能委員長として、「医療、福祉、学校、地域が一体となり、生きる力を育む活動を深めていきたい」と呼び掛けました。
関さんは主に病院の助産師として、育児と両立させながら不妊症の認定看護師の資格を取り、大学院に進むなどキャリアを積みました。45歳で高知医療センターへ。新生児集中治療室(NICU)の科長となった頃、看護協会の出前授業で性教育に携わり始めました。
学校で性教育を行う際は、教員との打ち合わせが大切です。命の誕生や性感染症など要望に応えて話してきましたが、次第に「自分と他者を大事にする話もしてほしい」と求められるようになりました。
「助産師が自他を大切にすることまで伝えられるのか、と悩みました」
教員と対話を繰り返し、「学校や地域で困っている課題を抽出し、解決に一歩踏み出せるような授業をしたい」と決意。「看護職が性教育を変えよう」と呼び掛け、2017年から活動を始めました。
目指すのは、性の知識だけでなく、自他を大事にすることを小学校から系統立てて伝える新しい性教育です。東京医療保健大学教授の渡会(わたらい)睦子さんをアドバイザーに迎え、研修や会合を重ねました。
「県教委とつながり、出前授業の新しい仕組みができました。少しずつ変わってはいますが、まだまだ」
多職種連携の難しさも感じている関さんの支えは、生徒たちの感想です。「命を大切にします」「下の年代の子たちにも話してあげて」。子どもたちの思いを受け取り、「これは頑張らなきゃ…と思います」。
理想は、全ての子どもたちが「あなたは大事な存在」と大人に教えられ、見守られながら生きていける社会。「いのちの教育を通して、子どもを大事に育てる高知県にしたい」と挑戦を続けています。(門田朋三)
◆ココハレインタビューでは子育て支援に携わる皆さんを紹介しています