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2023.06.08 08:00

小社会 寛容ラップ

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 ここ1年ほどか。朝の散歩中に繰り返し聞いて、耳になじんだラジオCMがある。コンビニで高齢の女性が会計に手間取る、ありがちな設定。順番待ちと思われるこわもての若い男性が「何もたついてんだ。一言言ってやるか」。

 場に緊張が走ると思いきや、男性はラップを歌いだす。〈♪誰も怒ってなんかない…何も気にすんな 自分らしく堂々と生きるんだ〉。高齢女性もラップで返す。〈♪まさかの優しい発言 あたしも反省 見た目で判断〉。

 レジの順番待ちで、ついいらいらした覚えがある方もいるのでは。不寛容な時代。攻撃し合うのではなく、相手を尊重する大切さを伝えるACジャパンの企画で、「寛容ラップ」というらしい。

 新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行し、きょうで1カ月になる。どうも警戒感もこの3年の混乱の記憶も薄れがちになるが、直近の本紙連載「コロナが問うもの」に忘れてはならない記憶があった。

 他罰の感情。人々の自律に頼る「日本モデル」の下、匿名の攻撃で他者に自粛を強いる動きやデマが飛び交った。かたや、感染者が出た保育園に「がんばれ」と応援旗を立てる匿名の心も。どちらが好ましい社会だろう。影響を及ぼす行政や報道の感染情報も伝え方は探らなければ。

 くだんのCMは「たたくより、たたえ合おう」と締める。感染症の場合はたたえ合いはしないにしても、変わるべきは変わっていきたい。

高知のニュース 小社会

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