2023.05.12 08:33
山あいの小集落にカフェ開店 グルテンフリーメニューや景色人気 地元出身女性「憩いの場つくりたい」 南国市天行寺
住民と談笑する伊達理恵さん=左から3人目。カフェは憩いの場となっている(写真はいずれも南国市天行寺)
山の合間から香長平野が望める集落。写真左の黒い建物が天茶カフェ
地元出身の伊達理恵さん(45)=高知市=が営む「天茶カフェ」。開業のきっかけは、7年ほど前に発症した小麦アレルギーだという。栄養士として高知市の保育園に勤めていたが、調理中にのどが腫れて呼吸しづらくなるなどの症状が出始め、退職せざるを得なくなった。
当時はグルテンフリーの店が少なく、好きだったカフェ巡りもできなくなった伊達さん。調理の腕を生かし店を開こうと思い立った時、まず浮かんだのが天行寺のきれいな空気と景色だった。加えて「飲食店や買い物の場がない地元に憩いの場をつくりたい」との思いも湧いた。
実家の一部を改装し、約20席を設けて2月に営業を始めた。日替わりランチの料理に使うしょうゆに小麦が含まれる以外、メニューはグルテンフリー。ほかにキーマカレーやオムライス、ロールケーキなどを提供する。
集落は市北部の国道32号から南へ1キロ余り入った山間。鳥の鳴き声と木々が風に揺られる音が静かに響き、山の向こうに香長平野が望める。店の庭には伊達さんの両親の岡崎正嗣さん(69)、金美さん(68)が育てるバラなどの草花が、景色に彩りを添えている。
優しい料理と自然に癒やされる店の評判は口コミで広がり、開店2カ月で地区外から2度目3度目と訪れる客も。またランチのピーク帯が過ぎると、毎日のように地元の高齢者らが店に集まる。千頭雪美さん(67)は「みんな車も持ってないし、お茶を飲みながら話ができる場所がなかったき、本当にありがたい」。デザートに舌鼓を打ちながら、会話を楽しんでいた。
伊達さんは「山奥での出店に不安はあったけど、人が来てくれて本当にありがたい。非日常の空間で景色を楽しみながら、のんびりとした時間を過ごせる店にしたい」と話している。
営業は午前11時~午後3時半(ラストオーダーは午後2時半)。日曜と月曜、祝日は定休。問い合わせは天茶カフェ(088・862・1671)へ。(海路佳孝)