2023.01.28 08:26
夢は時計職人、小6生修業中 倉敷の小幡君、高知県南国市に通い「難しい修理に挑戦したい」
時計の部品を削り出す作業に挑む小幡昂輝君(写真はいずれも南国市の中村時計店)
幼いころから、古くなった掛け時計の針を回して遊んでいたという昂輝君。「単純に針がくるくる回るのが面白かった」。2歳で時計が読めるようになり、だんだんとその仕組みにも興味を持った。
2021年2月ごろ、自宅の倉庫で100年以上前に作られた振り子式のボンボン時計を見つけ、「動かしてみたい」とばらし始めた。歯車がいくつも入り組んだ複雑な作り。昂輝君は岡山市の科学館で展示されていた時計の構造と見比べるうち、ぜんまいの力が逆流するのを防ぐ「コハゼ」という部品が外れていることに気が付いた。
倉敷市から弟子入りした小幡君=左=と中村昭弘さん
中村さんは5年ほど前から日曜日に時計の修理教室も開いている。昂輝君はその年の12月から、父、正雄さん(49)の運転する車で頻繁に教室に通うようになった。
動かなくなった古い目覚まし時計やオルゴール時計など、これまでに約30個の時計の修理やメンテナンスを経験。現在は中村さんの指導を受け、長さ3センチほどの鋼を100分の1ミリ単位で削り、ぜんまいの軸を作る作業にも挑戦している。
中村さんは「観察眼がするどく、記憶力、集中力も抜群にいい」と、着々と技術を身に付けていく弟子に舌を巻き、今後は腕時計などより難度の高い修理技術も伝えていきたいと話す。
昂輝君は「失敗もあるけど、時計をばらして直して、最後に動き出す達成感が大きい。将来は一から部品を作ることができる先生のような職人になりたい」。夢に向け、歩みの時を刻んでいる。(海路佳孝)