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2023.01.24 08:40

JA高知県支所さらに統廃合、58→36前後に 収支悪化で計画見直し

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 JA高知県が経営改善を目指し2023年度までに進めている支所・出張所の集約が、当初の計画以上に統廃合を伴う方向になっていることが23日までに分かった。金融事業の収益減と人口減によって計画以上に収支が悪化しているためで、72カ所を58カ所に減らす当初計画を見直し、24年4月までに36カ所前後に再編する見通し。梼原町や三原村など支所ゼロになりそうな自治体もあり、生産者らから不満の声が上がる。

 JA高知県は19年、県内12JAと園芸連など4連合会が合併して発足。県人口と組合員の減少・高齢化に備え、21~23年度の3カ年計画で72カ所の支所・出張所を58カ所に▽購買店舗を96カ所から73カ所に▽ATMを124カ所から110カ所に―などとするコスト削減計画を進めてきた。

 しかし、新型コロナ禍による農作物の販売不振や、低金利による信用・共済事業の利益減は想定以上に進行。計画初年度の21年度決算の事業損益は16億900万円の赤字となり、計画の2倍以上に膨らんだ。

 さらに、今後の人口減などを考慮すると、金融事業の利益は21年度の79億1400万円から5年後の26年度には65億3千万円(17・5%減)まで落ち込むと試算。58支所・出張所のうち3分の1の19が赤字に陥る見通しとなり、計画終了を待たずに22年6月から再検討に入った。

 全国農業協同組合連合会(JA全農)の職員らを加えた協議で、36カ所前後への統廃合案を作成した。それによると、県内7地区のうち、高知地区(高知市)を除く6地区で支所・出張所を2~9カ所統合する。土長地区は南国市が8から2、嶺北は5から2へ。高西地区(高岡郡西部)も5から2で梼原町はゼロ、幡多地区は9から7で三原村はゼロとする―など、支所ゼロの自治体は6町村前後になる見通しだ。

 JA高知県は「統廃合案はあくまで参考。支所数は実情に合わせ調整する」と説明。金融事務の新システム発注のため2月をめどに再編案を取りまとめ、6月の総代会への上程を目指す。現在、各地で説明会を進めているものの、大幅削減となる地域の生産者からは「やむなし」の声とともに、「縮小後のビジョンがない」「説明不足だ」といった批判が出ている。

 JA高知県の21年度時点の組合員は約8万4千人(正組合員約4万1千人、准組合員約4万3千人)で、職員は嘱託などを含め約2千人を数える。

 秦泉寺雅一組合長は「24年度の収支均衡を目標に全事業の見直しを行う。組合員、市町村に丁寧に説明し、地域の農業振興にしっかり取り組める経営体質と信頼回復を前提に改善を進める」としている。(蒲原明佳)

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