2023.01.08 08:35
「おらんく家具屋」マナベインテリアハーツ、〝ニトリ独り勝ち〟業界に挑戦! 全国21店・年商116億円に
昨年11月にオープンした群馬千代田店。売り場面積は最大の1万4千平方メートル(群馬県千代田町=マナベインテリアハーツ提供)
同社は、現社長の曽祖父の柳吉氏が明治期に営んだ和食器の行商がルーツ。1895年に祖父の又二郎氏が宿毛市で家具店を開き、父の幸雄氏までこの1店だったが、現社長が92年に高知市に出店した。
転機は97年だった。「人口減の進む県内だけでは生き残れない」と、翌年に迫った明石海峡大橋の開通をにらみ、10億円超をかけて神戸市に進出。当時、同市内の家具店では最大規模の約4200平方メートルの広さで勝負をかけた。
「出店ノウハウが乏しい上、家具以外の生活用品も初めて扱った。失敗したら倒産の恐れもあった」が、ふたを開けると、初年度から売上高は約8億円に。経営は軌道に乗った。
その後も郊外の大型店を中心に、大阪、京都、栃木などに進出。現在、高知市と四万十市の県内2店に加え、関東4店、関西13店、九州2店を展開する。県外に出る前は20億円だった売上高は、2022年5月期決算では116億7300万円に増えた。
同社は中国などの海外メーカーと直接取引し、低価格帯をメインに扱う。売り場面積6千平方メートル以上の郊外大型店で幅広い年代層を取り込む戦略。従業員にインテリアコーディネーターの資格を取得させ、接客に注力して差別化を図る。
昨年11月に群馬県千代田町にオープンした21店目の店は、20億円を投じて同社最大の1万4千平方メートルの広さに。カーテンだけで千点を用意し、自社ブランドのテーブルやソファ、雑貨などをずらりそろえる。
国内の家具市場は1990年代の2兆7千億円をピークに、人口減と婚礼需要の低下で近年は1兆円に縮小しており、淘汰(とうた)が進む。
同社は昨年12月、東京証券取引所の機関投資家向けの東京プロマーケットに上場した。同社の株式は持ち株会社と親族で保有しているが、真鍋社長は「将来的にスタンダード市場への上場を視野に入れている。株式発行で資金調達してさらに出店を加速させたい」とする。(安岡仁司)