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2022.12.14 08:45

黙食続く...コロナ下の給食 国は会話容認でも高知県内学校は「リスク高い」

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静かな給食の時間。友達との会話はなく、食器の音が響く(高知市神田の神田小)

静かな給食の時間。友達との会話はなく、食器の音が響く(高知市神田の神田小)

 高知県内小中学校で給食の時間の「黙食」が続いている。文部科学省は11月末、新型コロナ対策を取っていれば「会話可能」とする通知を出したが、学校現場から聞こえてくるのは「感染状況を見れば会話の容認は無理」「学校での感染はマスクを外す給食、部活の時間が多い」など否定的な声ばかり。会話を楽しみながらの給食は、まだまだ先になりそうだ。

 文科省は11月29日、都道府県教委に座席配置の工夫や適切な換気の確保などを行っていれば、「会話は可能」とする通知を出した。同省は「従前から、必ず黙食とすることを求めてはいない」としたが、給食は飛沫(ひまつ)感染のリスクが高いとされ、事実上、黙食が求められてきた経緯がある。〝解禁〟の通知を受け、県教育委員会は翌30日、県内34市町村の教委に周知したという。

 しかし、県内全11市教委に取材したところ、高知市を除く10市教委は校長らとの協議などを踏まえ、「教室が狭く十分な距離を確保できない」「感染者数が減れば黙食をやめてもいいが、今は様子見」などとして、黙食を続ける方針を決めていた。高知市教委は「文科省は『会話をしましょう』と推奨しているわけではない。学校ごとに実態が異なるため、情報を集めている段階」として、まだ通知は回していないという。

 同市の神田小。窓を少し開けた2年生の教室で給食の時間が始まった。

 全員で「いただきます」と手を合わせて、マスクを外す。放送で「あわてんぼうのサンタクロース」が流れ終えると、教室に響くのは食器と箸のカツカツ、カチャカチャという音だけ。

 しばらくすると担任が前列に立ち、柿なますが入ったバットを抱え指さした。おかわりを問う、無言の合図だ。子どもが静かに手を上げると、おかずを入れて回る。全員が食べ終えると再びマスクを着け「ごちそうさまでした」。

 別の小学校でも、同様の光景が見られた。たまに、ぼそぼそと話す声が聞こえると、教員から「静かにしてください」と注意の声が飛んでいた。

 県内では11月上旬から感染者が増えており、県は対応ステージを同28日に「警戒」、12月9日に「警戒強化」に引き上げた。

 神田小の達川浩一校長は飛沫感染を警戒し、「教室の広さは63平方メートルで35人学級。どう考えても互いに2メートルの間隔は空かない」「子どもたちに『話していいよ』と言うと、あっちこっち向いてしゃべり、歯止めが利かなくなる」。

 コロナ禍も間もなく丸3年。そもそも児童にとってマスクは必需品になっていて、「食事中もマスクを外さず、浮かせて食べる子もいる」という。かつてのように班をつくり、友達と向き合って食べる光景が戻るのは、まだ先のようだ。

 子どもたちは「友達と笑いながら食べられたら、もっと楽しいと思う」「話せんのは残念」という声の一方、「休み時間とかに話しゆうき、かまん。コロナになるより、しゃべれん方がまし」との声も。中学受験を控える小学6年の息子を抱える同市内の母親(44)は「家族でインフルエンザとコロナのワクチンを打った。周りにも受験生が多くピリピリしている。他の子への影響も考えると黙食は仕方ない」と話した。

 ある小学校の教諭は「運動会なども縮小続き。本来は楽しい給食時間に『静かに』と注意しないといけないのはつらい。コロナ禍は残酷です」と首を振った。(玉置萌恵、加治屋隆文)

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