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2022.12.10 08:20

快感!?コスプレ取材 面を外せば…大興奮一転 香長総局―ニュース忘年会(7)

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イラスト・竹内宏樹

イラスト・竹内宏樹

 スーパーマン、仮面ライダー、ウルトラマン。男子なら誰しも抱いたであろう、ヒーローへの変身願望。夢は夢のまま大人になり、何かを演じた記憶は保育園時代のバナナ役しかなかった。そんな男の夢がかなうときが四十路(よそじ)を過ぎてやってこようとは。

■足りない戦闘力?
 10月に南国市の後免地区で開かれたハロウィーンイベント。実行委員会のKさんとUさんに「面白そうですねえ」と声をかけたところ、出演が即決してしまった。なんと、衣装も用意してくれるという。

 アイアンマン? ダースベーダー? 仮装キャラを選んでくれるKさんらの会話に心が沸き立つ。そして、決まった。「じゃあ、トルーパーでいきましょう」。それ誰? 

 ああ、映画「スター・ウォーズ」で、白い宇宙服に身を包んでわらわらと現れる帝国軍のやつらか。ヒーローとは程遠いが、隠れた人気キャラだ。

 イベント当日、商店街には肉体を鍛え上げたスパイダーマン、ハイレベルに仕上がったアニメキャラら仮装上級者が多数集結。余裕の表情でポーズを決めれば、人が集まる。

 私はというと…。そう、いくら変身しても、人は簡単に変われないのだ。人生初のコスプレ。照れくささもあって、猫背でおずおずと歩く。しかも武器の代わりにカメラを抱えたトルーパーには戦闘力のかけらも感じられなかった。

 すると突然、女性から耳を疑う声が。「一緒に写真撮ってください」。え? 僕ですか? もちろんオッケーですよ! 満面の笑み(もちろん、かぶり物で見えない)で親指を立て、ぱちりと写真に納まる。

 浮かれ気分で子どもたちに手を振ると、誰もがうれしそうに応えてくれる。そうだ、僕は記者じゃない! トルーパーだ! 言いようのない高揚感に満たされる。

■高揚感から無力感に
 この日は、海洋堂SpaceFactoryなんこく(海洋堂SF)でお化け屋敷イベントも開催中。海洋堂SFに到着すると、着替える間もなく取材に直行した。

 さあ本業。お面は外したが、首から下はコスプレのおっさん。「高知新聞ですが、中の様子を撮らせてもらっていいですか?」と声をかけるものの、来場者はけげんそうに「写真はちょっと…」「いや、私たちはやめてください!」。

 さっきまでの勢いはどこへやら。高揚感は無力感に変わり、ぺこぺこと頭を下げ続けるはめになった。そう、やっぱり人は簡単に変われないのだ。

 Kさんいわく、「コスプレはさんざん注目浴びた後、脱いだら誰にも注目されないという瞬間が快感なんですよ」。いやはや、その境地に達するにはまだまだ。ただ、偽りの姿でいい、あの高揚感をもう一度…とうずうずしているもう一人の自分がいる。(海路佳孝)

◆リアルお化け屋敷、怖っ! 実際の廃材で建設業者演出 高知県南国市の海洋堂SF

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