2022.12.09 08:49
竹の自動車部品が地球を救う! 夢の新素材をミロクテクノが開発 CO2排出量半減 放置竹林の解消も期待
県産竹を使って開発された新素材。CO2排出量を従来の半分に抑えた
新素材で試作されたシフトレバー
この流れを受け、昨春から県工業技術センターや県立紙産業技術センターとともに、竹の新たな活用策を研究。半年以上育ったモウソウチクの油分を抜いて粉砕し、合成樹脂と混ぜてペレットにした。
CO2削減のため、竹の含有量を50%以上に設定。課題になったのは、竹特有のにおいを抑えながら、強度と加工精度をいかに確保するかだった。テクノウッドの片山弘紀社長は「竹加工のノウハウや知識はあるけど、素材となると全く違う知見が必要になった」と振り返る。
木材と合成樹脂を混ぜたウッドプラスチックは既に製品化されているが、用途はウッドデッキやベンチなどに限られ、工業部品はなかった。過去に竹素材の開発を断念したメーカーもあり、相談した専門家からは「本当に取り組むのか」と止められたという。
油の抜き方や砕き方、合成樹脂の種類や混ぜ方を数百パターン試し、1年半かけて自動車用部品として耐え得る素材が完成。東海理化がこの素材で試作したシフトレバーは、触り心地が滑らかでべたつきも少なかったという。
「新素材をグリーン化と里山保全につなげたい」と話す片山弘紀社長(千葉市の幕張メッセ)
竹は西日本に多く自生しており、本県では全国11番目の4544ヘクタール(17年3月末時点)に広がっている。民具やタケノコ生産に活用されてきたが、近年は需要が減り、放置された竹林が里山を荒らす懸念も出ている。
テクノウッドは24年度の製品化を目指しており、反響とニーズを見ながら量産のための設備増強も検討する。竹で世界と勝負してきた会社が、地球の環境を救うか。(大山泰志、浜崎達朗)