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2022.11.29 08:40

「じいちゃん、ばあちゃんの飛び出しに注意」住民自腹の優しい看板【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

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ミルクロードの道沿いにある『じいちゃん飛び出し注意』の看板(熊本県大津町)

ミルクロードの道沿いにある『じいちゃん飛び出し注意』の看板(熊本県大津町)

 「じいちゃん、ばあちゃんの飛び出しに注意」。熊本県大津町の山あいを走る通称ミルクロードの一部、県道北外輪山大津線の道沿いには、ドライバーに注意を呼びかけるユニークな看板が並んでいる。一体誰が、何のために設置したのか。熊本日日新聞の「SNSこちら編集局」(S編)取材班で調べた。

 車で走ると、大津町高尾野などの約2.4キロの間に計32個の看板を確認できた。付近で1時間ほど様子を見たところ、高齢者の飛び出しは見られなかったが…。

 看板について道路管理者の県に問い合わせると「県が立てた看板ではありません」。大津署に話を聞くと「道沿いの『からいもの店』の人が立てられたのかも…」と話したが、詳細までは分からなかった。

 「からいもの店」とは、大津町特産のサツマイモを自動販売機で売る地元の「食のより道」という店だ(現在は販売休止中)。訪ねると、看板は同店の経営者の長男、高浜健児さん(52)が個人で設置したことが分かった。

 幼い頃からミルクロードそばで生活してきた高浜さん。長年、法定速度を超過する「走り屋」を目撃してきた。地元は高齢者も多く、死亡事故も複数回発生。そこで10年ほど前に「じいちゃん飛び出し注意」「ばあちゃん飛び出し注意」など、高さ60センチほどのプラスチック製の看板約10個を道沿いに設置した。「短文で目を引くフレーズにこだわった」と話す。

 さらに6年前の熊本地震では阿蘇と熊本都市圏をつなぐ国道57号が寸断され、迂回(うかい)路になったミルクロードは通行量が急増。渋滞で集中力が散漫になりがちなドライバー向けに「急いでも5分もかわらんバイ」など20個の看板を追加した。

 文字の印刷は業者に発注し、総額10万円ほどの製作費は全て高浜さんの自腹だ。「車で道路に出ていく際、以前よりも車が譲ってくれるようになった」。高浜さんの元には地元住民から感謝の言葉も寄せられたという。(熊本日日新聞)


 県民・読者の情報提供に基づいて取材する「なるほど!こうち取材班」(略称=なるこ取材班)は、同様の調査報道に取り組む全国の地方紙と、記事交換などをするパートナー協定を結んでいます。各紙の記事を随時掲載します。

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