2022.11.21 08:35
ネット空間の治安守る 県警サイバー捜査官 横川和尚さん(33)高知市―ただ今修業中
「サイバー犯罪は身近になりつつある。安心してネットを使ってもらえるようにしたい」と力を込める横川和尚さん(高知市丸ノ内2丁目の県警本部)
◆
旧春野町生まれ。小さいころから新しいことや技術が好きで、高知西高時にはバレーボール部の仲間とホームページを作成したことも。当時の憧れはホリエモンこと堀江貴文さん。プロ野球球団の買収に名乗りを上げたり、テレビ局支配を試みようとしたりしていたころで「自分も都会に出て新しいことをしたい」との思いを募らせた。
大学進学を機に上京した。しかし東京には「将来やりたいことでピンとくるものがなかった」。大学卒業後も東京に残り、2年間はアルバイトに明け暮れた。地元で就職を、という両親の願いで帰郷。就職先として浮かんだのが警察官だった。
「小さいころから刑事ドラマをよく見ていて、特に『踊る大捜査線』の(主人公の)青島が好きだった。悪いやつをやっつける姿がかっこよかった」。高知県警を受け、26歳で警察人生のスタートを切った。
警察官はまず、警察学校でいろはを学ぶ。携帯やパソコンの解析、IT技術を使った捜査…。授業で知ったサイバー捜査に、新しい物好きの心がうずいた。初任地となった安芸署での勤務の傍ら、ネット上の専門用語やログの仕組みなどサイバー捜査官になるための勉強をした。警察官になって5年目の2020年4月、県警本部生活環境課のサイバー犯罪捜査係に配属になった。
◆
サイバー捜査はパソコンばかり触っているイメージがあるが、人とのやりとりが何よりも欠かせないという。
被害者からはどんな端末やブラウザー(閲覧ソフト)を使っていたかなどを聞き出さなければいけない。犯行に使われたパソコンを割り出しても、なりすましの可能性はないのかといったことを確認するため聞き込みや内偵も必要になる。「パソコンさえあれば事件解決というわけじゃない。長年培ってきた捜査手法が土台にあるんです」
県警が今年摘発した、都内の中国人夫婦らが他人のクレジットカード情報で大量の商品を購入していた事件にも携わった。
「事件が高知県内だけじゃなく県外、国外に広がる。広い世界で活躍できるのがサイバー捜査の魅力」と話す一方で、「例えばログの解析でも経験豊富な人は、すぐ不審な箇所に気付く。でも、自分はまだまだ。参考書を何度も見直すこともあります」と頭をかく。
好きな言葉
写真・山下正晃
文・村上和陽