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2022.11.06 08:35

静寂が包む志士の古里・柏木(高知県北川村)―土佐鳥瞰紀行(79)

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 奈半利川に架かる慎太郎橋。その先が、幕末の志士、中岡慎太郎の生誕地だ。

 1838年、北川郷の大庄屋の長男として慎太郎は生まれた。信念を貫いた真っすぐな生きざまだけでなく、為政者としての業績も見逃せない。

 20歳で病気の父に代わって仕事を引き継ぎ、ほ場の再整備やユズ栽培を奨励。食糧難の際には自らの土地を売り、村民にサツマイモを配った。情熱と慈愛に満ちたエピソードの数々が、尊敬の念とともに語り継がれている。

 集落の中心には手紙やかみしもなど貴重な資料を展示する中岡慎太郎館。そばに立つ、かやぶき屋根の建物は、1967年に復元された生家で一般に開放されている。東京から訪れた女性は「中岡先生の情熱に触れたくて。居心地がよくて、4時間もくつろいじゃいました」と満足そう。

 「人の価値は家柄ではなく、自身が何をなすかで決まる」と説き、30年の苛烈(かれつ)な生涯を駆け抜けた慎太郎。その魂を包み込むように、古里は静かで暖かな日差しが降り注いでいる。(佐藤邦昭)

高知のニュース 北川村 土佐鳥瞰紀行 写真・グラフ

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