2022.11.06 08:40
高知・宿毛湾養殖にサメ被害 今夏頻発「損失数千万円」 海水温上昇が一因か―支社局「発」!ニュース深掘り
8月、養殖魚のいけすに侵入していたサメ。体長は2.5メートルほどあった(宿毛市の宿毛湾=荒木水産提供)
同指導所では2017年度ごろからサメによる被害を確認。ただ事例は多くなく、各業者が雇っているダイバーらで対応していることもあり、件数や被害額などは集計していなかった。
しかし今夏は被害が頻発。同指導所が比較的規模の大きい4業者に聞き取った結果、3業者が例年以上の被害を受けたとし、ある業者は「被害額は最大5千万円ほどに上る可能性がある」と話していたという。
「複数のいけすで、少なくとも40カ所は穴を開けられた。去年は5カ所もなかったのに…」。荒木水産(宿毛市新港)の荒木俊慶社長(31)はそう明かす。9月末までに6匹のサメがいけすに侵入。正確な被害額は出荷が終わる来春まで分からないとしつつ「最悪数千万円の損失を覚悟しないといけない」と漏らす。
サメが増えた一因とみられるのは海水温の上昇。湾内は8月、平均水温が28・1度と過去5年で最も高く、ブリやマダイを養殖する際の適温を上回り、弱ったり死んだりする魚が出た。水産研究・教育機構水産資源研究所(横浜市)は「サメは聴覚や嗅覚に優れている」といい、弱った魚が体を動かす音などにおびき寄せられた可能性を指摘する。
荒木社長は、サメに破られた穴は死んだ魚などがいたいけすの底部分に集中していたといい「狙われるのは分かっていたので、小まめに魚を取り除いていたのですが…」と肩を落とす。同指導所は「今後も同様の被害が生じかねない。既にサメの駆除や調査を進めている県土佐清水漁業指導所などと連携し、種の特定といった調査に着手したい」としている。(宿毛支局・坂本出)