2022.10.16 08:36
「所谷家」「土佐家」かかし一族、続々と 所谷公民館(土佐市)―フォっトけないす
所谷公民館前に並ぶかかしの群れ(写真はいずれも土佐市北地)
土佐市北地の国道56号から少し北。所谷公民館の前に、大勢の人が戯れていた。「車止めてかまんですか?」。声をかけても返事なし。それもそのはず、そこにいたのは、かかしの一団だった。
「かわいくできちゅうろう」。地元世話人会「ほっこり所谷」代表の渡辺雅代さん(75)が笑う。3年前に住民らの親睦を図ろうと有志5人で設立。ウオーキングや料理などのイベントを定期的に企画している。
かかし作りに精を出す「ほっこり所谷」の女性たち
「そりゃえいねえ」。メンバーは賛同し、かかしの里で作り方を教わった。材料は新聞紙や木材、ビニールなど。服は住民に提供してもらい、早速2体作ってみた。「なかなかの出来栄えやねえ」。メンバーは乗ってきた。
公民館前に並べていたある日、渡辺さんの知人が「打ち掛けがある。着せてみん?」と言ってきた。「じゃあ結婚式を挙げんと」「家系図も要るね」。話はどんどん膨らんだ。
今夏作製分を含め29体となったかかし。家系図では「所谷家」と「土佐家」があり、所谷家は元映画スターの源一さん(75)と妻の米子さん(72)らがおり、長女みのりさん(35)は3人の子育て中。土佐家は、サーフィンが趣味の稔さん(60)と妻、葉(よう)さん(58)らがいて、次女さくらさん(35)が所谷家へ嫁いだ―との設定だ。
スモモの木の下の「源一さん」。カラスは寄りつかなくなった
軒先にたたずむ「みのりさん」
「和気あいあいと作る過程が楽しい」「皆に喜んでもらえるのがやりがい」とメンバー。かかし一族はこれからも増え続け、地元をほっこりさせてくれそうだ。(土佐支局・谷川剛章)