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2022.09.10 08:25

鏡川から五輪へ 北村光希(高知工科大)カヌー スラロームK1―月刊マル地スポ

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 園児の頃から鏡川でパドルを漕いできた。特に部活をやめた中学3年からはほぼ毎日。猛暑の夏も、雪が舞う冬も、全国大会で上位になっても、高校1年でジュニア日本代表に選ばれても、鏡川で腕を磨き続けてきた。

 取り組むのは両端にブレード(水かき)があるパドルで1人乗り艇を操るカヤックシングル(K1)のスラロームだ。

 激流の中、艇を操りながら20カ所前後のゲートを通り、走破タイムを争う種目。ゲートは流れに沿って通過するだけでなく、下流側から回り込むものも。不通過はもちろん、ゲートに触れてもペナルティーの時間が加算される。流れを読む力と技術が常に問われる。

 ゴールまで約90秒。「肩の動きや目線の位置でタイムが変わる。本当に繊細」とスラロームを表現する。「90秒に(選手自身の)『歴史』を詰め込まないといけない。全てを出しきった人が勝つ。奥深くて、難しい」

 日々の練習はゲート通過時のターンなど、基礎が中心。パドルで流れを受け止め、艇の重心を後ろにずらして先端部を持ち上げ方向転換。ゲートに触れないよう体を反らす。時には、トップ選手の技や思いついた技も試す。

 流れが穏やかすぎて練習にならないようにも思えるが、「静水でできない動きは、激流でできるはずがない。ここでの練習は大事です」。

 父、久光さん(60)と目指してきたパリ五輪まで2年を切った。来春の日本代表選考会に向け、同じ会場で開かれる秋のNHK杯を見据える。

 この夏、大きな経験を積んだ。東京五輪の事前合宿の際に、県協会とチェコ連盟が結んだ交流協定の一環で渡航。同五輪スラローム男子K1金メダリスト、イジ・プルスカベツと練習し、コーチである彼の父親から指導を受けた。

 「どうすれば世界で戦えるかがつかめた。これまでやってきたことが通用した手応えも」。充実感いっぱいに振り返る。そして、こう語った。

 「かなりの努力が要るけど、チェコで五輪への“道”が見えてきました」(竹内竜一)

 北村光希(きたむら・こうき) 父の影響でゼロ歳からカヌーに親しむ。3歳頃から一人で艇に乗り、鴨田小5年時には大歩危峡を下った。西部中1年から本格的にスラロームに取り組む。翌年からジャパンカップに出場し、高知西高1年時にはジュニア日本代表に選ばれた。東京五輪では女子日本代表の練習パートナーを務めた。福井、茨城両国体に出場し、栃木国体も出場権獲得。8月のジャパンカップ岩手大会で2位、あぶ川カップ萩市長杯で優勝など急成長を遂げている。高知市在住。19歳。

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