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2022.08.29 08:40

森木堂々のデビュー 最速154キロ、5回までは1安打

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プロ初登板し6回3失点だった阪神・森木=バンテリンドーム

プロ初登板し6回3失点だった阪神・森木=バンテリンドーム

<中日―阪神23回戦>28日 中日 4―1 阪神
 先発し6回を投げて被安打4、自責点3。いわゆるクオリティースタート。この結果だけを見ても、高卒ルーキーのプロ初登板としては上出来だが、内容的にはプロの打者を圧倒したと言ってもいい。バンテリンドームに詰め掛けた3万4964人をしびれさす、素晴らしい投球だった。

 六回の3失点は、それまでの味方打線の拙攻に次ぐ拙攻で流れが悪くなった中でのもの。森木本人は「勝負球が甘かった」と反省しているものの、これは仕方ない。

 小さいころからの憧れだった、プロ1軍のマウンドを初めて踏んだ一回裏、最初から飛ばしまくった。中日の1番岡林には初球から3球連続152キロで、当てるのが精いっぱいのファウル。スタンドのどよめきと拍手は、1球ごとにボルテージが上がった。「これがプロ野球か」と感激しつつ投げ込んだ、145キロのスプリットで二ゴロに仕留めた。

 二回から五回までは圧巻だった。ダイナミックだが余計な力の全く入っていない、高知の野球ファンにはおなじみのフォームから、最速154キロの速球を捕手のミットに突き刺す。そこに110キロ台のカーブ。約40キロの緩急差で詰まらせたり引っ掛けさせたり、空振りさせたり。一人の走者も許さなかった。

 一回には2番大島に153キロを中前にはじき返され、二盗も決められたが、「打たれるのは想定していた。ゼロに抑えるだけ」。半年前まで高校生だったとは信じられない、マウンドでの落ち着き。その場の空気を支配する力。やはり、ただ者ではない。

 近く、いったん登録抹消となり、次回登板は未定という。しかし矢野監督は「もちろん、あの投球ならまだ見たい。俺自身も見たい」。今季中にもう一度、プロ初勝利のチャンスがありそうだ。

 いったい、どんなすごい投手になってくれるのだろう。楽しみで仕方がない。希望しか見えない。(井上太郎)

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