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2022.07.19 05:00

【男女平等116位】政治と経済の改善進まず

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 各国の男女平等度を順位付けした2022年版の「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」で、日本は調査対象の146カ国中116位だった。先進7カ国(G7)、東アジア太平洋地域でも最下位である。
 順位に一喜一憂する必要はないにしても、近年は100~120位台と「低位」が指定席となった感が拭えない。政府も「女性活躍」といったキャッチフレーズを掲げ、各種の数値目標を設定してきたものの、現実的な取り組みの遅れを重く受け止めなければなるまい。
 調査は、国際的なシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表している。各国の政治、経済、教育、健康の4分野で男女の平等度を評価した。
 日本は今回1位になった教育や、健康の分野ではほぼ男女平等になっているとの評価を得た。だが、政治と経済で改善が進まず、全体の足を引っ張る構図が続いている。特に、率先して取り組むべき政治の低迷ぶりは看過できない。
 政党に候補者数の男女均等化を求める「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されて4年余り。長年の課題解決に向け、各党の本気度が試されたのが、今回の参院選だったといってよい。
 全体の立候補者に占める女性の割合は過去最高の33・2%となり、一歩前進したようには見える。ただ、各党の間には明らかな温度差があった。
 立候補者のうち女性の割合は共産党55・2%、立憲民主党51・0%、社民党41・7%、国民民主党40・9%と多くの野党が共同参画実現への姿勢を示した格好だ。一方で自民党は23・2%、公明党が20・8%だった。与党は男性の現職が多い分、立候補者の調整で難しい面はあったろう。ただ、「隗(かい)より始めよ」という意志はうかがえない。
 こうした姿勢ではますます取り組みが遅れ、日本社会の人権意識が問われかねないのではないか。
 政府は03年、「20年までに指導的地位の女性を30%程度」に引き上げる目標を掲げたが、21年度から5年間の女性政策をまとめた第5次男女共同参画基本計画では、目標年次を「20年代の可能な限り早期」へと先送りしている。さまざまな分野で約90の数値目標を設けたが、実践されなければ格差は埋まらない。
 政治に求められるのは議員の割合などに関する「自己改革」にとどまらない。経済分野では役員の女性割合以前に、女性が働き続けやすい環境整備もまだ途上の段階といえる。長時間勤務の是正や育休の取得といった課題は多い。政治がリーダーシップを発揮して、具体策を積み重ねていく必要がある。
 男女共同参画の実現は、男性にとっても生きやすさにつながるはずだ。それがLGBTQ(性的少数者)や人種などを含めた多様性を認め合う社会への入り口となるだろう。環境づくりは政治の役割が大きいとしても、実現には私たちの意識の変化が欠かせない。

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