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2022.07.13 08:35

【四国インターハイ】不登校乗り越え...少林寺拳法「人生変えた」村上(高知中央高)目標は全国V

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鋭い蹴りを繰り出す村上芽衣(写真はいずれも高知市の高知中央高校)

鋭い蹴りを繰り出す村上芽衣(写真はいずれも高知市の高知中央高校)


 29~31日に高知市の春野体育館で行われる全国高校総合体育大会(インターハイ)少林寺拳法競技に、強い思いで臨む県勢の女子選手がいる。単独演武に出場する高知中央高校3年の村上芽衣(18)。中学時代から高校入学後にかけて不登校を経験。友人や競技のおかげで学校に通うようになった。2年連続で県高校体育大会(県体)と四国選手権を制した四国女王が、最後のインターハイに挑む。
吉本茉里菜、岡田俊介監督と話す村上=中央

吉本茉里菜、岡田俊介監督と話す村上=中央


 「アァー」。腹の底から発せられた気合が同校武道場に響き渡る。鋭い突き、受け、二段蹴り…。しなやかな動きで一心不乱に技を繰り出す姿からはかつて学校に通えなかった時期があったとは想像しがたい。

 ◇ 
 小さい頃から運動が好きで中学ではバレーボールと陸上で鍛えた。ただ入学当初から、起きると動悸(どうき)や微熱が出るようになり、学校は休みがちだった。

 3年秋に起立性調節障害と診断された。起立時や午前中に脳への血流低下でさまざまな症状が出る思春期に多い病気だった。「原因が分かってほっとした」一方で「『どうでもいいや』って投げやりな気持ちもあった」。秋以降はほとんど学校に通えず、卒業を迎えた。

 高校入学後も休む日が続いた5月のある日。クラス担任の岡田俊介(36)が訪ねてきた。「クラスの子が『LINE(ライン)を交換したい』って言ってる」

 紹介されたのが現在、少林寺拳法部で共に汗を流す吉本茉里菜(17)だった。LINEグループに加わると「学校に来てみん?」と熱心に連絡をくれた。「みんな優しいな」。心が動いた。

 勇気を出して登校すると吉本らが優しく接してくれた。次第に学校が楽しくなり、新たな楽しみも見つけた。中学時代に3カ月だけ少林寺拳法を体験していたことを知った岡田が自身が監督を務める部活に誘ったのだ。

 岡田に「センスがある」と褒められたことも「うれしかった」。練習に打ち込み、学校も休まなくなった。

 岡田の褒め言葉は根拠があった。「体幹が強く、技がぶれない」。その通り、競技を始めてわずか3カ月後には県新人戦(県夏季大会)の単独演武で優勝。翌春の全国選抜大会にも出場した。ただ、全国の壁は厚く、選抜大会は決勝で16人中16位。「悔しかった。勝ちたいという気持ちが出てきた」

 ◇ 
 昨年、今年と四国を制し、最後のインターハイは「優勝したい」と揺るがない。

 卒業後も競技を続けたいという。「少林寺拳法は心と体を鍛え、仲間と協力して技を教え合い、励まし合ってできる。人と接することが苦手だった私には、それが良かった」

 そしてこう続けた。

 「少林寺拳法が自分の人生を変えてくれた。今まで勝ってきたのも自分の努力だけじゃない。友達や部員がずっと一緒におってくれたから」

 もう、センスだけではない。仲間と、競技と、深く結び付いた四国女王だ。(五十嵐隆浩)

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