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2022.07.10 08:35

お弁当でほっこり時間を 「うしおえこども食堂」 おふくろの味 家庭支援―ちいきのおと(78) 百石町1丁目(高知市)

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ずらりと並ぶ弁当箱。できたばかりのおかずが詰められていく(写真はいずれも高知市百石町1丁目)

ずらりと並ぶ弁当箱。できたばかりのおかずが詰められていく(写真はいずれも高知市百石町1丁目)

 ナスをトントン刻むそばで、ニンジンと卵を炒める香ばしい匂いが立ち上る。潮江小学校近くの教会で、5年前から活動を続ける「うしおえこども食堂」。ボランティアたちが月2回、お弁当作りに励んでいる。

 6月半ば。夕方の弁当配布に向け、ボランティア約10人が昼過ぎに集合。エプロンをきゅっと締め、野菜を切ったり米をといだりと、それぞれの作業に取りかかった。

 「久美子さーん、これどうする?」「オクラは輪切りで。レンジでちょっとチンしたいがよ」。代表の神崎久美子さん(65)がてきぱきと指示。野菜や果物のほとんどは県内の卸業者や農家などから寄付されたもの。集まった食材を見てメニューを決め、足りない食材を前日までに買いそろえる。

野菜をたっぷり使った弁当を手に、「普段の家庭料理をそのまま作っています」と話す神崎久美子さん

野菜をたっぷり使った弁当を手に、「普段の家庭料理をそのまま作っています」と話す神崎久美子さん

 この日の弁当は野菜炒め、白菜とキャベツのおひたし、レンコンの挟み揚げなどのおかず7品と白ご飯。ハヤシライスなどが入った弁当も作った。

 「おかずは野菜中心で、少し薄味。『おふくろの味』とか言われます。続けて来てくれる人たちがいて、喜んでもらえるのが一番の支え」

 神崎さんはもともと会場の「セブンスデー・アドベンチスト高知キリスト教会」で毎週土曜日の午前中、子どもたちに聖書を教えていた。勉強後は、うどんを振る舞い、皆で一緒に食べていた。

 ある時、参加者の中にうどんを目当てに来ている子がいることに気付いた。同じ頃、朝も昼も食事をせず公園でたむろしている子たちにも出会った。

 「学校がない日に、食事を取れてない子が身近にいる。何かできないか」と模索。2017年7月から教会の食堂を借りて「うしおえ―」を始めた。

野菜を切ったり炒めたりと、忙しい調理場

野菜を切ったり炒めたりと、忙しい調理場

 少しずつ参加者が増え、「もうすぐ100人を超すね」と仲間と話していた矢先、新型コロナ禍が拡大。2カ月間休止し、20年8月から弁当配布に切り替えて再開した。

 「お母さんたちも仕事で忙しい。月1、2回でも時間と心に余裕を持って、家庭がほっこりするような支援ができれば」と神崎さん。利用者からメールで予約を受ける際、雑談したり子育ての悩みを聞いたりと、「1対1のつながりができ、かえって親しくなった」とほほ笑む。

「ありがとうございます!」。笑顔で弁当を受け取る家族連れ

「ありがとうございます!」。笑顔で弁当を受け取る家族連れ

 大人も子どもも1食100円。取材に訪れた日は過去最多の130食分の予約が入り、調理場はフル稼働。途中で炊飯器3台が止まるというハプニングも起きたが、ガス釜で新たに米を炊き直して間に合わせた。

 「野菜のおかずが多くて安心して食べさせられる。毎日の食事作りは大変。手抜きできてありがたい」。できたてを、2歳の子ども連れの女性(36)が笑顔で受け取った。

 地道に続けてきた食支援。神崎さんは「周りの人とのつながりを大切にすること、助け合うことに関心を持ってほしい」との思いを込める。コロナが落ち着いたら、子どもたちにご飯の炊き方やみそ汁の作り方を教える教室を開きたい、という構想も温めている。(報道部・松田さやか)


《ちょっとチャット》
窪内駿君(10)潮江小4年
 学校が終わった後や休みの日に、友達と潮江西の丸公園に行って鬼ごっこや缶けりをして遊んでいます。近くの駄菓子屋さんもよく行く。子どもがたくさんいて楽しい地域です。自転車に乗ってたら「ゆっくり行きよ」と声を掛けてくれたりして大人も親切。習い事は、水球と水泳と公文。将来は水球の選手になりたいです。



 百石町1丁目は筆山東部に位置する住宅街。近隣に学校も多い。もとは高知市潮江の一部。北百石町に変わった後、1969年に現在の町名になった。6月1日現在、364世帯、631人。

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