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2022.04.09 08:00

【ヤングケアラー】小学生も大学生も深刻だ

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 大人に代わって家族の世話や家事に追われる「ヤングケアラー」が、小学生にも数多くいる実態が明らかになった。
 6年生を対象にした厚生労働省の調査で、6・5%(約15人に1人)が「世話をしている家族がいる」と答えた。うち半数超が世話の頻度が「ほぼ毎日」で、1日7時間以上に及ぶ子も7・1%いた。
 遅刻や早退が多いなど、学校生活や健康に影響している傾向もあるという。これほど多くの時間を費やしているのだから当然だろう。
 家庭で手伝いをする子どもは昔からいた。そのため社会の関心も低くなりがちだが、学校での勉強や友達づくり、健康にまで支障が出る状況はもはや「家庭の事情」では済まされまい。
 厚労省は昨年、中高生の調査結果も発表し、中学生は5・7%(約17人に1人)、高校生は4・1%(約24人に1人)のケアラーがいることが判明している。今回は大学3年生も調べ、やはり6・2%(約16人に1人)のケアラーがいた。
 小学生から大学生まで深刻な状況といっていい。子どもが子どもらしく、若者が若者らしく過ごせる社会でなければならない。社会的課題として、積極支援を急ぎたい。
 調査結果によると、小学生ケアラーが世話をする家族は「きょうだい」が71・0%と最も多く、「母」との回答も19・8%あった。世話の内容は見守りや家事、きょうだいの世話や送り迎えなど。
 厳しい家庭環境に置かれているのが分かる。一方で、誰かに相談した経験があるのは17・3%と2割に満たなかった。
 そんな小学生ケアラーの窮状と孤立が自由記述欄につづられている。「助けてほしい」「いつでも頼っていい人がほしい」「だれかに勉強を教えてほしい」
 他には「相談しても『うーん』っていう回答ばかり」「町のふくしの人たちに、もっとていねいにやさしく、ちゃんとかんがえて助けてほしい」といった記述も。相談や支援の態勢が不十分な証しだ。
 中高生調査でも、悩みを独りで抱え込む生徒の存在が浮き彫りになった。小学生の場合は自分が置かれた状況をうまく説明できなかったり、自覚できていなかったりするケースもあるとみられる。
 政府は昨年、経済財政運営の指針「骨太の方針」に初めて、ヤングケアラー支援を明記。早期把握や相談体制の強化、家事育児支援などを進めることにしている。
 きめ細かい支援をするには、地域での実態把握も不可欠だ。高知県は2022年度に県内の中高生を対象に初の実態調査を行う。学校や市町村などとも連携し、早期発見、早期支援につなげてほしい。小学生の調査も欠かせない。
 厚労省の中高生調査では「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」とした生徒が8割もいた。SOSを発信しやすいよう、認知度を上げる取り組みも急がれる。

高知のニュース 社説

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