2022.04.05 08:40
平和願う「陽光」 いの町・枝川公園―桜色に誘われて(5)
平和を願う「陽光」の桃色がまぶしく輝いた(3月29日、いの町枝川)
吾川郡いの町枝川の宇治川沿い。淡い色合いのソメイヨシノに交じり、濃い桃色の桜が咲いていた。春の光を浴びてまぶしく輝く。その名も「陽光」という。
太平洋戦争中に愛媛県の青年学校教員だった故高岡正明さんが教え子の供養にと、戦後に私財を投じて開発した種。暑い亜熱帯の地でも極寒のシベリアでも育つ強い桜を目指し、25年ほどかけて品種改良した。2001年に92歳で亡くなるまで全国各地の学校や、教え子が眠るアジアなどの地に苗木を無償で贈り続けたという。
枝川では01年に地元住民がオーナーとなり、枝川公園と宇治川沿いに120本ほどの陽光を植えた。
平和、反戦への願いが込められた、鮮やかなピンクの花。世話を続ける山脇幸一さん(85)は「楽しいお花見の間に、ちょっとでも平和の尊さを感じてもらえれば」と話した。(佐藤邦昭)