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2022.03.30 08:00

小社会 荘川三十郎

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 「椿三十郎」は黒沢明監督の傑作時代劇だが、仁淀川町沢渡には「桜三十郎」を名乗る知られざる名桜がある。正しくは「荘川三十郎」と申す。

 話は1960年にさかのぼる。岐阜県荘川村(現高山市)の寺の境内に、御母衣(みぼろ)ダム建設に伴い水没する運命のエドヒガンの老木があった。高台移植は不可能とされたが奇跡的に成功。老木はダム湖畔で再び花を咲かす。

 2年後、立ち退きで村を去った転出者たちが水没記念碑の除幕式に招かれ、よみがえった桜を見上げ涙した。これを機に荘川桜と命名され、年に1度、湖底に沈んだ古里をしのぶ集いが開かれるようになったという。

 時を経て仁淀川上流部に大渡ダム建設計画が持ち上がる。水没の立ち退き交渉を巡るあつれきに心を痛めたのが、地元で長く教職にあった故吉岡重忠さん。散り散りになる住民の心を束ねるよすがにと、荘川桜2世の移植を思い立った。

 岐阜で実生苗の育成に努める篤志家に手紙を書き、現地に出向いて苗木を譲り受ける。30番目の苗だから三十郎。自宅の庭に植え、由来を記す石碑を据えた。

 移植から46年目の春らんまん。大渡ダム湖を見下ろす吉岡家を訪ねた。大木に育った三十郎は花が盛りを過ぎ、春風に白い花びらを散らしていた。一方、飛騨高山の荘川桜は残雪の中にあって、つぼみはまだ固いそうだ。ここにかつて人の暮らしありき。物言わぬ桜の親子が湖畔で雄弁に語っている。


3月30日のこよみ。
旧暦の2月28日に当たります。みずのえ うま 七赤 大安。
日の出は5時57分、日の入りは18時25分。
月の出は5時03分、月の入りは16時19分、月齢は27.4です。
潮は中潮で、満潮は高知港標準で5時20分、潮位165センチと、16時58分、潮位164センチです。
干潮は11時08分、潮位51センチと、23時24分、潮位9センチです。

3月31日のこよみ。
旧暦の2月29日に当たります。みずのと ひつじ 八白 赤口。
日の出は5時55分、日の入りは18時25分。
月の出は5時34分、月の入りは17時23分、月齢は28.4です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時47分、潮位170センチと、17時40分、潮位172センチです。
干潮は11時41分、潮位36センチと、23時58分、潮位13センチです。

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