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2022.02.22 08:00

【コロナ出口戦略】思惑の先走りを排除して

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 新型コロナウイルス感染対策のまん延防止等重点措置は、適用されていた5県が解除された。延長を含め高知など31都道府県で続いているが、期限となる3月6日での全面解除や、一部は前倒し解除の可能性も取り沙汰される。
 オミクロン株の猛威を受けた流行第6波の「出口戦略」が模索される。岸田文雄首相は「次のフェーズへと段階的に準備を進めていく」と述べた。経済社会活動の本格化へ踏み出したい意向のようだ。
 しかし、思惑通りに進むとは限らず、警戒を緩めることはできない。首相が繰り返してきた最悪を想定した先手の取り組みの必要性は変わってはいないことを肝に銘じたい。
 全国ベースの1日当たり新規感染者数は減少に転じた。厚生労働省に助言する専門家組織からは、2月上旬にピークを越えたとする見方が出ている。一方で、感染者数を十分に下げないとリバウンドする可能性があると専門家は警告している。
 当面は医療提供体制の改善やワクチン接種の進展が重要だと指摘される。コロナ患者用の病床は、高齢者の感染が増えたことで逼迫(ひっぱく)度合いが強まってきた。
 高齢者は若い患者に比べて介助も必要で現場の負担が増している。コロナ感染後に基礎疾患が悪化し、重症化する事例が目立つようだ。死者も多くなっている。出口戦略を感染状況の好転と受け止められないように慎重な対応が必要となる。
 ワクチン3回目接種の加速も欠かせない。2回目からの間隔を原則8カ月以上とした方針を維持したことが接種の遅れにつながった。接種前倒しを打ち出して自治体が混乱する事態も見られ、定まらない政府方針に批判が向けられてきた。
 世論調査では、ワクチン接種を巡る政府の取り組みを「遅い」と受け止めている人は7割を超える。国民の思いをしっかりと受け止めた対応が欠かせない。
 これまでの接種では、そのペースを高める方針を掲げながらワクチンが十分に供給できず、自治体の接種能力の向上に追いつかない局面もあった。政府は今回、対象全員分を確保し配送すると発表している。
 ただ、米ファイザー製と米モデルナ製とで接種の希望に違いもある。意識の変化も見られるようだが、「交互接種」を巡る情報発信の在り方は引き続き課題だろう。
 政府は新型コロナの水際対策を巡り、3月から措置を緩和する。1日当たりの入国者数の上限の引き上げや、入国後の待機期間を一定の条件を満たせば免除か短縮する。
 このタイミングを巡る世論の受け止めは分かれる。根強い警戒感もあり、そうした思いと向き合わなければ反発を強めかねない。
 内閣支持率は1月調査より支持、不支持ともわずかに増えた。コロナへの政府対応は「評価しない」がやや増えている。濃厚接触者の待機期間を緩和する意見も専門家から出される。対策の十分な説明と理解を求める姿勢が基本だ。

高知のニュース 社説

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