2024年 05月02日(木)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2022.02.18 08:00

【GDP高成長】先行き懸念がのしかかる

SHARE

 内需の柱である個人消費の復調が寄与して、2021年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は2四半期ぶりのプラス成長となった。
 新型コロナウイルス流行前の水準をほぼ回復した。ただ、要因には感染状況が落ち着いていたことが挙げられている。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置はほぼ半年ぶりに全面解除されていた。
 先行きは新型コロナのオミクロン株の拡大で楽観できる状況ではない。ことし1~3月期は急減速が見込まれる。懸念材料が立ちはだかるだけに、説明と理解に基づいた柔軟な対応が不可欠だ。
 10~12月期GDPは物価変動を除く実質で前期比1・3%増だった。このペースが1年間続くと仮定した年率換算は5・4%増となる。
 経済活動の制限解除に伴い、飲食や旅行などのサービス業が好調だった。部品不足から迫られた自動車の減産が回復し、企業の設備投資も堅調だった。
 高成長となったとはいえ、国内のワクチン接種が遅れたこともあり米国やユーロ圏の回復状況からは立ち遅れが指摘される。それだけに、経済社会活動の立て直しに本格的に取り組んでいきたいところだ。
 しかし、1月に入ってからはまん延防止措置が多くの都道府県に適用されるようになった。一部の県は解除されるものの延長もあり、今後の動向には不透明感が漂う。
 感染が収まらなければ個人消費の落ち込みは避けられない。不安定な部品供給は生産の回復に重くのしかかる。本格回復はさらに先送りされかねず、状況次第ではマイナス成長も推測されている。
 家計の負担も増しそうだ。コロナ禍からの世界的な需要回復や円安傾向を受け、原材料を輸入する食品や日用品の値上げが相次ぐ。小売価格を抑え込めば下請け企業にしわ寄せが向かいかねない。
 また原油価格は、ウクライナ情勢の緊迫化も相まって需給逼迫(ひっぱく)への懸念から高値圏で推移している。ガソリン価格や電気代のさらなる値上げが懸念される。
 感染拡大防止と経済活動の再開とのバランスをどう取るか、難しい判断を迫られる。水際対策を巡り、厳格措置は一定の評価を得てきた。政府は入国者数の上限を緩和する方針に転じたが、緩和を求める圧力によって変更されたと見られてはコロナ対策への信頼が揺らぎかねない。十分な説明が不可欠だ。
 地域経済への影響も危惧される。コロナ禍に対応した政府の資金繰り支援策で、企業倒産は抑えられてはいる。地方銀行・グループ77社の21年4~12月期決算は、約9割で純利益が前年同期と比べて増えた背景にもなっている。
 しかしコロナ禍の収束が見通せない中で、返済負担は重くのしかかってくる。地域経済の先行きは楽観できず、経営を改善する多方面からの支援の必要性は一層高まっている。暮らしや企業活動の小さな傷みを見逃さないことが大切だ。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月